( 1 )漢語の「郎」は、元来、官職名であったが、転じて、男子・若者の意をも表わした。しかし、従者の意はない。
( 2 )語義は、平安時代は①の意であったが、平安時代末からの武家社会では、②のように使われた。
( 3 )江戸時代初期に開合の区別が失われたため、「とう(等)」と「たう(党)」がトウと同音になった結果、この時期以降「郎等」に加え「郎党」の表記も現われた。
平安時代以後,特に諸国に下向する官人や,京・地方に住む武者に仕えた従者の一つ。〈ろうどう〉とも呼び,郎党とも書く。従者のうちでも地位の高い者を郎等といい,低い者は従類といった。郎等のうち主人一家に擬せられたのが家子(いえのこ)であり,家子,郎等,従類などをあわせて郎従という。郎等は中世初期武士団にあっては中核的存在であり,主人に名簿(みようぶ)を奉呈したり,また初参(しよさん)といってはじめて見参(げんざん)することにより,主従関係を形成した。主人とは独立した経営を保つ自立的存在であり,主人がさらに上位の主人の郎等となることもあり,その重層関係が主従制を基礎とする武士社会の特徴である。鎌倉時代以後,武士団の規模がいっそう拡大してからは,郎等の語は主人に側近く仕える従属度の強い従者をさすことが多くなり,それとともにあまり使われなくなる。ただ武士団の構成員を〈一族郎等〉〈家子郎等〉と呼ぶことは後世までみられる。
→郎従
執筆者:五味 文彦
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出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…平安時代以後,武者や国司に仕えた従僕の総称。郎等と同意語に使われることが多いが,郎等は従類と対で〈郎等・従類〉のごとく使われ,従類より地位の高い従僕の意であるが,郎従の場合は郎等・従類を含んで使われる場合の方が多い。郎等・従類の等・類は接尾語で,基本は郎・従にあることを考えると,郎従はまさに郎と従をひっくるめて表現したものと考えられる。…
※「郎等」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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