精選版 日本国語大辞典 「凌」の意味・読み・例文・類語
しの・ぐ【凌】
〘他ガ五(四)〙
① 押しふせる。下に押えるようにする。おおいかぶせる。なびかす。
② 障害物などを押しわけ、押しつけるようにして進む。
(イ) 押しわける。かきわける。
※万葉(8C後)八・一六〇九「宇陀の野の秋萩師弩芸(シノギ)鳴く鹿も妻に恋ふらく我れには益(ま)さじ」
(ロ) のりこえて進む。山、波などをのりこえる。
※万葉(8C後)一〇・二〇八九「秋風の 吹き来る夕(よひ)に 天の河 白波凌(しのぎ) 落ちたぎつ 早瀬渡りて」
(ハ) 特に困難なことをのりこえる。のりきる。
※宇津保(970‐999頃)あて宮「よろづのゆゑさはりをしのぎて思ひたち給へる御まゐり」
(ニ) たえる。我慢する。また、たえしのんでもちこたえる。
※浮世草子・好色五人女(1686)四「腰簑身にまとひ一夜をしのぎける」
③ あなどる。見くだす。圧倒する。
※書紀(720)神武即位前(北野本室町時代訓)「村(ふれ)に君(きみ)あり、長(ひとこのかみ)有りて谷に自(みつか)ら疆(さかひ)を分ちて用(も)て相(あひシノキきしろふ)」
※霊異記(810‐824)上「其の村の童女等皆心を同じくして、凌(シノキ)蔑(あなづり)て曰はく、〈興福寺本訓釈 凌 之乃支〉」
④ (困難にたえて)苦労する。努力する。
※毎月抄(1219)「それをよまんよまんとしのぎ侍れば」
⑤ 程度などが他よりすぐれる。まさる。凌駕する。
※玉塵抄(1563)五五「相徉、雲をしのいで心の高うあがった心ぞ」
しのぎ【凌】
① 困難なことや苦しみなどをがまんして切りぬけること。また、その方法や手段。
しぬ・ぐ【凌】
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報