前景(読み)ゼンケイ

精選版 日本国語大辞典 「前景」の意味・読み・例文・類語

ぜん‐けい【前景】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 前方に見えるけしき。
    1. [初出の実例]「砲声を前景にした茶褐色の兀(は)げた丘」(出典田舎教師(1909)〈田山花袋〉四八)
  3. 絵や写真などで、人物など主体となるものの前にある小景。中景・遠景に対していう。また、手前の方に置く舞台装置。⇔後景背景
    1. [初出の実例]「広重がこの橋を画くのに正木稲荷の風景を以てせず、大きな亀を前景(ゼンケイ)において万年の意を現はした謎々の趣向が」(出典:江戸から東京へ(1924)〈矢田挿雲一一)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「前景」の意味・わかりやすい解説

前景
ぜんけい
foreground

絵画用語。絵画において奥行のある空間表現を意図する場合,前景,中景,後景の3つの奥行の段階基本として構図が決定される。前景は最も画家に近い手前の部分であり,通例画面では最も強調して表わされる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android