南茅部(読み)みなみかやべ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「南茅部」の意味・わかりやすい解説

南茅部
みなみかやべ

北海道南西部、渡島(おしま)支庁(現、渡島総合振興局)管内にあった旧町名(南茅部町(ちょう))。現在は函館(はこだて)市の北東部を占める一地区。1959年(昭和34)尾札部(おさつべ)、臼尻(うすじり)の2村が合併して南茅部村となり、同年町制施行。2004年(平成16)戸井町(といちょう)、恵山町(えさんちょう)、椴法華村(とどほっけむら)とともに函館市編入される。旧町域は、渡島半島南東部の亀田(かめだ)半島にあり、太平洋に面し、海沿いには国道278号が通じる。山地や丘陵地が多く、耕地は少ない。屈曲に富む海岸には天然の良港が多く、コンブイワシ、サバ、サケなどの漁獲で知られてきた。なかでも白口浜(しろくちはま)のマコンブは良質で知られ、またマグロ大謀網(だいぼうあみ)漁業発祥の地といわれる。現在はイカ、スケトウダラ、エビ、ホッケ、サケの漁獲とコンブの養殖が盛ん。木材と水産物の加工業がある。川汲(かっくみ)、磯谷(いそや)、大船(おおふね)の温泉があり、川汲公園は桜の名所。台場山は箱館(はこだて)戦争の際に幕府軍が砲台を築いた所。国指定史跡の大船遺跡をはじめ、縄文時代の遺跡が多い。また、著保内野遺跡(チョボナイノいせき)出土の「中空土偶(ちゅうくうどぐう)」は国宝。海岸一帯恵山道立自然公園の一部。

[瀬川秀良]

〔世界遺産の登録〕2021年(令和3)、大船遺跡はユネスコ(国連教育科学文化機関)により「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産として世界遺産の文化遺産に登録された(世界文化遺産)。

[編集部 2022年1月21日]

『『南茅部町史』(1987・南茅部町)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「南茅部」の意味・わかりやすい解説

南茅部
みなみかやべ

北海道南西部,函館市北東部の旧町域。亀田半島の北部を占める。1959年町制。2004年函館市に編入。地名はアイヌ語カヤウンベシュ(帆の崖の意)に由来。沿岸漁業が主産業で,イワシ,ホッケ,イカ,スケトウダラ,コンブ,ホタテガイなどの漁獲が多く,良質のコンブの産地としても有名。磯谷温泉,大船温泉,川汲温泉(かっくみおんせん)などの温泉がある。数多くの縄文遺跡が確認され,国指定史跡の大船遺跡と垣ノ島遺跡は,2021年「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産として世界遺産の文化遺産に登録された。木直海岸(きなおしかいがん)や獅子鼻岬などの景勝地があり,一帯は恵山道立自然公園に属する。

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百科事典マイペディア 「南茅部」の意味・わかりやすい解説

南茅部[町]【みなみかやべ】

北海道茅部郡の旧町。亀田半島の東岸に位置し,平地に乏しい。漁業が中心で,ワカメ,コンブ採集が盛ん。川汲(かっくみ)峠,川汲温泉,磯谷(いそや)温泉など景勝地,温泉が多い。2004年12月亀田郡戸井町,恵山町,椴法華村と函館市へ編入。158.35km2。7510人(2003)。

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南茅部 (みなみかやべ)

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