(読み)りん

精選版 日本国語大辞典 「厘」の意味・読み・例文・類語

りん【厘】

〘名〙 (「厘」は「釐(り)」の略字)
① 数量の単位。基準単位の下位の単位の一つ。一以下の小数を表わす単位の一つ。十進法で、分・厘・毛があり、中国では古来この順序で一貫しているが、日本では中世以前と近世では単位の段階がちがっている。中世以前には分・毛・厘であったが、近世では分・厘・毛の順序となる。
(イ) 中世以前、毛の十分の一、分の百分の一の単位。基準単位の千分の一。り。
※延喜式(927)二六「凡備中、長門、豊前等国採銅鉛料稲、斤別充三束九把六分五毛七厘
(ロ) 近世以降、分の十分の一、毛の十倍の単位。基準単位の百分の一。
※地方要集録(1741)上方関東方御取箇之大法「厘付取は村高に而取米を割て、何わりに当ると見て、幾わり何分何厘と、壱村にての厘付は、リン迠割付、幾毛と毛迠はつけぬ法なれ共」
② 長さの単位。寸(すん)の百分の一。約〇・三ミリメートル。
随筆・好古日録(1797)四八「近家宿禰云、以曲尺六寸六分五厘弱周尺一尺
③ 重さの単位。分(ふん)の十分の一。約〇・〇三七五グラム。
※鈴鹿家記‐応永元年(1394)一二月八日「灰吹合五拾両、料目弐百拾五匁此利一ケ月六匁四分五厘也」
④ 銭(ぜに)の価の単位。文(もん)・銭(せん)の百分の一。貨幣があったのではなく、計算上の単位。〔書言字考節用集(1717)〕
⑤ 明治以降の貨幣の単位。銭(せん)の十分の一。円の千分の一。
小学読本(1873)〈田中義廉〉一「銭一文を、一毛といひ、十毛を、一厘といひ、十厘を、一銭といひ」
⑥ 数の二をいう、瀬戸物商の符丁度量衡の単位の名称を数の符丁としたもの。〔商業符牒袖宝(1884)〕
[補注]「厘」は本来別字である、数量の単位としての「釐」の俗体とされる。「延喜式」以来、「厘」を助数詞に用いた例が見られるが、本来は「リ」であり、「リン」と読むのは室町時代に始まったか。

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デジタル大辞泉 「厘」の意味・読み・例文・類語

りん【厘】

数の単位。1の100分の1。または、1割の100分の1。
尺貫法の単位。長さでは、1の100分の1。重さでは、1の100分の1。
貨幣の単位。1の1000分の1、1せんの10分の1。

りん【厘】[漢字項目]

常用漢字] [音]リン(慣)
ごく小さい数量を表す単位。「厘毛一分一厘九分九厘
[補説]もと」の略字。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「厘」の意味・わかりやすい解説


りん

(1) 小数の単位で 0.01。ただし何割何分何厘というときは1割の 0.01倍,すなわち 0.001。 (2) 尺貫法の長さの補助単位で,1寸の 0.01倍。 (3) 尺貫法の質量の補助単位で,1匁の 0.01倍。 (4) 日本の通貨単位で,銭の 0.1倍。

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百科事典マイペディア 「厘」の意味・わかりやすい解説

厘【りん】

漢数詞では1分(ぶ)の1/10つまり1/100をいい,割合では1/100割つまり1/1000をいう。尺貫法でも1/10分の意味使い,長さでは1/100寸,質量では1/100匁(もんめ)を表す。

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単位名がわかる辞典 「厘」の解説

りん【厘】

➀尺貫法の長さの単位。1厘は1尺の1000分の1、1寸の100分の1。約0.0303cm。
➁尺貫法の重さの単位。1厘は1貫の10万分の1、1匁(もんめ)の100分の1。約37.5mg。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「厘」の解説


りん

釐(り)とも。単位の一つ。長さとしては分の10分の1で約0.3mm,重量としては分の10分の1で0.0375g,貨幣としては銭の10分の1をいう。

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旺文社日本史事典 三訂版 「厘」の解説


りん

貨幣の単位。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【円】より


[円の起源]
 円は日本貨幣の基本単位名であるが,1871年(明治4)制定の〈新貨条例〉によって採用された。銭・厘を補助単位とする十進法の計算体系をもつ。それまで流通の江戸期金貨には1601年(慶長6)制定の両・分(ぶ)・朱という単位が使用されていた。…

【貫】より

…これらの通貨単位の交換率は1700年(元禄13)に〈金1両=銀60匁=銭4貫文〉と定められたが,以後変動している。これらの単位は1871年(明治4)の新貨条例による円,銭,厘への一本化で廃止された。(2)質量の単位。…

【尺】より

…ここで実効上というのは,法文上は尺を長さの単位の基本としていることによる。したがって1尺は約30.303cmであり,分量単位は1/10尺の寸,以下十進法による分(ぶ),厘,毛である。倍量単位は寸法用と距離・間隔用に分かれ,寸法用の倍量単位は10尺に等しい丈,距離用の倍量単位は6尺の間(けん),60間の町,36町の里である。…

【寸】より

…古代中国から,また日本でも大宝令以前から用いられてきた。1/10尺に等しく,1891年制定の度量衡法では1/33m,すなわち約3.03cmで,分量単位は1/10寸の厘,以下,十進法による毛,糸である。また鯨尺1寸は鯨尺1/10尺に等しく,約3.8mmで,分量単位は1/10寸の鯨尺分である。…

【分】より

…(1)長さの単位。1/10寸に等しく,1891年制定の度量衡法では,曲尺(かねじやく)の場合約3.03mmであり,分量単位は十進法による厘,毛,糸である。また鯨尺1分は約3.8mmである。…

【匁】より

…1000匁を貫と呼んだが,1891年制定の度量衡法では逆に貫を基本としたため,匁は貫の分量単位となり,1/1000貫に等しく,3.75gである。分量単位は1/10匁の分(ふん),以下,十進法による厘,毛である。【三宅 史】。…

※「厘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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