司法試験合格者の中から最高裁判所が命じた司法修習生に法曹実務の修習をさせ,また裁判官その他の裁判所職員の研究,修養をつかさどるため,1947年に設立された,最高裁判所の付置機関(裁判所法14条)。戦前の日本の法曹養成制度は,判・検事と弁護士では異なっていた。判・検事は,高等試験司法科試験に合格して1年以上裁判所・検事局において司法官試補(官吏として俸給を受けた)として計画的な実務修習を受け第2回試験に合格すれば,判事または検事に任命されたのに対して,弁護士は高等試験司法科試験(1918年以前は判・検事のための試験とは別の試験)に合格した後1年半弁護士試補(無給)として弁護士事務所で修習を経て試験に合格して弁護士となった。司法研修所の設立および司法修習制度の創設は,この司法官試補と弁護士試補という2本立ての法曹養成制度を一元化した画期的なもので,世界にも類例がない。司法修習生は,国庫から給与を受けて2年間修習をした後修了試験に合格すれば,判事補,検事,弁護士となる資格を得る。司法修習生修了者は1990年代半ば以降毎年約700~750人であり,このうち約100人が判事補,約70人が検事,残りが弁護士となる。司法研修所は,以上のように司法修習生の修習のほか,裁判官や裁判所職員の再教育も行っている。司法研修所の教官は,裁判官,検察官,弁護士の中から最高裁判所によって任命される。
→法曹
執筆者:青山 善充
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…憲法は,規則制定事項について法律が定めることを禁じていないと理解され,そのことを考慮に入れると,裁判に関する事項については専門的で技術的な要素が生ずることもあるため,裁判の実際によく通じている裁判所自身に自主的に,また,必要に応じて流動的に立法させることが適当だと考え,司法部内の最高権限者である最高裁判所にその権限を与えたという根拠も認められる。この権限に基づき制定された最高裁判所規則として,すでに挙げた最高裁判所裁判事務処理規則のほか,民事訴訟規則,刑事訴訟規則,下級裁判所事務処理規則,司法研修所規則,〈地方裁判所における審理に判事補の参与を認める規則〉,〈法廷等の秩序維持に関する規則〉など多数ある。
[司法行政]
最高裁判所は,上記の規則制定権に現れているように司法行政上の最高の機関であり,憲法により下級裁判所の裁判官に任命されるべき者を指名する権限を与えられ(日本国憲法80条1項),最高裁判所の職員,全国の下級裁判所およびその職員を監督し(裁判所法80条1項),下級裁判所の裁判官の補職およびその他の職員の任免等に関する権限を行う(47,64,65条)。…
※「司法研修所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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