事物が一つの目的にかなって存在または運動していること。とくに世界全体が目的をもって運行しているという思想を目的論的世界観という。自然のうちに合目的性をみいだし、壮大な体系をつくりあげたのはアリストテレスであるが、合目的性の概念そのものを哲学的に取り上げたのはカントである。彼によれば、合目的性は客観的合目的性と主観的合目的性に分けられる。前者には、存在自体が合目的的な有機体のようなあり方と、幾何学のようにより普遍的な原理に対して個々の定理が有しているような関係とがある。後者は、悟性と構想力の遊動的合致により美的快を生み出す目的なき合目的性であって、すべての美的判断の基礎をなすものである。カントの『判断力批判』におけるこの独創的思想は、後の美学の発展に多大の寄与をなした。
[武村泰男]
『I・カント著、篠田英雄訳『判断力批判』(岩波文庫)』▽『田辺元著『カントの目的論』(1924・岩波書店/『田辺元全集3』所収・1976・筑摩書房)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
ある事物が一定の目的にかなった仕方においてあること。アリストテレスは,合目的性を事物一般のあり方を解き明かす基本概念の一つとみなし,〈目的因〉を4原因の一つとして立てた。近代科学の機械論的自然観が力を得た状況の中で,合目的性の問題を美的認識,有機体の認識の両面から批判的に位置づけたのはカントである。今日生物学の発展にともなって,この概念の再検討の機運がある。
→目的論
執筆者:坂部 恵
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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