江戸時代検地の一種で,地詰(じづめ)ともいった。丈量の方法は検地と同じであるが,田畑・屋敷地の品位・斗代(とだい)は従前のままとし,単に縄・竿を入れて実際の面積を測り従前の検地帳記載面積とのくいちがいを修正する略式の検地をいう。その結果を記した帳簿を地押帳または地詰帳といい,記載様式は検地帳と同様である。地押は隠田(おんでん)の告訴があった場合,事故があって村方から願い出があった場合,あるいは論争となった土地を実検する必要が生じた場合などに行われた。その場合1~2耕地程度の小規模であれば廻り検地(惣まわりを絵図にうつし反別を改める方法)ですませた。明治政府は1873年公布の地租改正条例に基づいて,それまでまちまちであった物納貢租を全国一律の金納地租に統一・改定する政策をすすめたが,改正後も開墾・地目変換などによって帳簿と実地とのくいちがいが多く,大蔵省は85年より4ヵ年の歳月をかけて大規模な地押調査を行い,土地台帳を完成させた。
執筆者:松尾 寿
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田畑屋敷を測量して従来の段別を修正すること。地詰(じづめ)、地撫(じなぜ)、地坪(じならし)ともいう。方法は検地と同じであるが、ただ田畑屋敷の等級・分米(ぶんまい)などは従来のままとし、単に竿入(さおいれ)して面積を丈量し従来の段別を改めるのみで、その結果をまとめたものが地押帳である。地押は江戸時代に隠田(おんでん)の疑いがある場合、川成(かわなり)(洪水による荒地化)などで地所が紛乱した場合などに広く行われた。明治政府も地租改正の際に地押を行い、さらに1885年(明治18)から4年にわたって大規模な地押調査を行っている。
[宮川 満]
…各藩で大名が領内を独自に検地するのを内検といったが,その場合でも問題があれば勘定奉行に伺をたてた。正規の検地のほかに,竿入をせずに見計いによって古検の村高に一定の増高をつけて無地増高とする検地を居検地,品位・斗代は従来どおりとして面積のみ測量し修正する略式の検地を地押または地詰,部分的な対象地をこまかく区分した絵図に作って反別をただす検地を廻り検地,境界争論などによって行う検地を論所検地といった。また検地は麦・稲の刈入れ後に行われることが多く,季節によって春検地と秋検地の別があり,春検地はその年から,秋検地は翌年から高に組み入れられるのが通例であった。…
※「地押」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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