塵も積もれば山となる(読み)ちりもつもればやまとなる

精選版 日本国語大辞典 「塵も積もれば山となる」の意味・読み・例文・類語

ちり【塵】 も 積(つ)もれば山(やま)となる

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デジタル大辞泉 「塵も積もれば山となる」の意味・読み・例文・類語

ちりもればやまとなる

《「大智度論」九四から》ごくわずかのものでも、数多く積もり重なれば高大なものとなることのたとえ。
[類語]水積もりて川を成す滴り積もりて淵となる雀の巣もうに溜まる鼠が塩を引く餓鬼も人数にんじゅ

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ことわざを知る辞典 「塵も積もれば山となる」の解説

塵も積もれば山となる

ごくわずかなものでも数多く積み重なると、動かしようのない高大なものとなるというたとえ。また、小さな努力でもたゆまず続けていくと、いつか大きな成果が得られることのたとえ。

[使用例] 常に倹約をする人は、塵も積もれば山となるもの、僅少わずか金銭かねでも積めば大きいもの、それであるから、余分があれば、じぶんばかりか他人の危急きゆうばも救うて尚お余分があるが[西岡英夫*立身と繁昌|1906]

[使用例] ひくい島であるから、遠くが見えない。それで、島じゅうで、いちばん高い、西の海岸草地へ砂を運んで、砂山をつくり、見はらしがきくようにするのである。〈略〉二日めになった。「ちりもつもれば山だ。いまに高い砂山ができるぞ」「重いと、よけいにつかれるから、少しずつ運ぼう」[須川邦彦*無人島に生きる十六人|1943]

[解説] この「塵」は、ゴミではなく、「じん」と同じで、ごく小さなものをさしています。比喩としては具体的なイメージが浮かびにくく、いくぶん抽象的に響きますが、論理的には正しいもので、また哲学的な内容ともいえるでしょう。
 起源をたどると、二~三世紀ごろのインドの仏教哲学者りゅうじゅ仏典注釈を加えた「大智度論」に由来します。日本では、古くは「古今集」の序にほぼ同じ内容の記述が認められ、江戸時代には現在の形で常用されるようになりました。江戸いろはかるたにも収録され、近代に入ると貯蓄を奨励する標語としてもよく使われています。

英語〕Many a little makes a mickle.(少しでも度重なれば大量になる)

中国〕積少成多(少ないものが集まって多くなる)

朝鮮티끌 모아 태산(塵集めて大山

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故事成語を知る辞典 「塵も積もれば山となる」の解説

塵も積もれば山となる

ごくわずかなものでも、数多く積み重なると大きなものになることのたとえ。また、小さな努力を続けていくと、いつか大きな成果が得られることのたとえ。

[使用例] 何から何まで一知半解であるが、チリもつもれば何とやらで、一知半解のウンチクは頭にあふれ、書物は書斎にあふれている[坂口安吾*発掘した美女|1953]

[由来] 「大智度論たいぼん」の一節から。ちょっとした怒りや欲望でも、それを重ねていると魂が救われるのがむずかしくなる、ということを、「じんを積みて山と成し、移動するをべきことかたきがごとし(微少な塵を積み上げて作り上げた山でも、動かすことが困難であるようなものだ)」とたとえています。

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