千葉県南部,房総半島南端の洲崎(すのさき)から太平洋に面する一帯の海岸。本来は安房国の東側を指すが,現在は旧上総国の領域も含み,内房に対する。外房は冬暖かく無霜地帯が海岸にのび,暖帯性植物が茂る。海岸地形は海岸段丘や断層崖による岩石海岸が多く,いたるところに怒濤が岩をかむ男性的な外洋美がみられる。その間に須賀,白渚(しらすか),横渚(よこすか)などの〈スカ〉地名をもつ砂丘,砂浜があり,前原,鵜原,部原,大原など〈ハラ〉地名をもつ平地がある。旧安房郡の海岸に南房総市の旧白浜町,旧千倉町,鴨川市の旧鴨川市,旧天津小湊町など,旧夷隅(いすみ)郡の海岸に勝浦市,御宿(おんじゆく)町,いすみ市の旧大原町,旧岬町がある。これらは遠洋・沖合漁業の基地であり,ホテル,旅館,民宿が多い観光地でもある。海岸は草花の露地・温室栽培で名高く,沿岸はアワビ,サザエ,テングサなどの海女の潜水漁業で知られ,最近はアワビ,ハマチの蓄養施設も多い。
執筆者:菊地 利夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
千葉県南部、房州の外海(太平洋)をいい、内房に対する語。狭義には館山(たてやま)市洲崎(すのさき)から勝浦市「おせんころがし」までの太平洋岸をいい、広義には太東岬(たいとうざき)までを含める。岩石海岸が続いていてアワビ、サザエ、海藻などの磯根(いそね)漁業が盛んであり、冬季の温暖な気候条件のもとで草花の栽培が行われる。全域が南房総国定公園に属していて、海水浴場や観光施設が分布し、白浜の野島崎、鴨川(かもがわ)シーワールド、仁右衛門(にえもん)島、天津小湊(あまつこみなと)の鯛ノ浦(たいのうら)、誕生(たんじょう)寺や清澄(せいちょう)寺、勝浦海域公園、御宿(おんじゅく)の海水浴場などが観光の拠点となっている。
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