大木戸(読み)オオキド

デジタル大辞泉 「大木戸」の意味・読み・例文・類語

おお‐きど〔おほ‐〕【大木戸】

《「大城戸おおきど」の意》大きな城門
近世国境都市出入り口に設けた関門。
近世、芝居小屋木戸番の頭のこと。
大坂遊郭新町にあった東の大門おおもん

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精選版 日本国語大辞典 「大木戸」の意味・読み・例文・類語

おお‐きどおほ‥【大木戸・大城門】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 大きな城門。大門。表門。
      1. [初出の実例]「於朋耆妬(オホキド)より うかがひて 殺さむと すらくを知らに」(出典:日本書紀(720)崇神一〇年九月・歌謡)
    2. 江戸時代、国境や都市の出入口におかれた関門。
      1. [初出の実例]「是天の命なりと、気力聊とり直し、路縦横に踏で伊達の大木戸をこす」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)飯坂)
      2. 大木戸<b>[ 一 ]</b><b>②</b>〈江戸名所図会〉
        大木戸[ 一 ]〈江戸名所図会〉
    3. 江戸時代の歌舞伎劇場で、表の出入口を預かる木戸番の頭。〔楽屋図会拾遺(1802)〕
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] 東京都新宿区南東部、四谷四丁目交差点の付近にあった旧地名。江戸時代、[ 一 ]が置かれていたところから地名となった。のち、四谷見附に関門が移され、寛政四年(一七九二)大木戸は廃止された。
    2. [ 二 ] 大坂の新町遊郭の東の大門。
      1. [初出の実例]「ここぞ浮き世の伊達(だて)の大木戸、あけぬは銀のとがしの関」(出典:浄瑠璃淀鯉出世滝徳(1709頃)上)

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日本歴史地名大系 「大木戸」の解説

大木戸
おおきど

[現在地名]西区押切町・花の木一丁目

樽屋たるや町の西端、押切おしきり村地内、巾下白壁はばしたしらかべ町が南下して樽屋町に出会う角辺りにあった(尾府全図、金鱗九十九之塵)枇杷島びわじまおこし(現尾西市)墨俣すのまた大垣おおがき(現岐阜県)を経て、中山道垂井たるい宿(現岐阜県)へ通じる美濃路における名古屋の出入口。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大木戸」の意味・わかりやすい解説

大木戸
おおきど

東京都新宿区南東部、四谷(よつや)4丁目交差点付近にあった旧地名。江戸時代、江戸の市街地の出入口にあたる所に設けられ、取締りの関門の役割を果たした大木戸が地名となった。東海道筋の芝高輪(たかなわ)大木戸に対し、甲州街道筋は四谷大木戸(1616年設置)とよばれた。甲州街道の出入口の第一関門の大木戸に対して、第二の関門は四谷見附(みつけ)であり、見附の完成(1636年)により、1792年(寛政4)大木戸は廃止され、道の両側石垣も明治になって撤去された。この近くに日本橋から移転させた四谷伝馬(てんま)町、四谷塩町があり、甲州街道筋の繁華街であった。現在、東京都水道局新宿営業所通用門わきに碑が残っている。一方、1710年(宝永7)設置された高輪大木戸(港区高輪2丁目)は、跡地が国指定史跡として保存され、土塁が残っている。伊能忠敬(いのうただたか)の全国測量は、ここを基点とした。

[沢田 清]


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百科事典マイペディア 「大木戸」の意味・わかりやすい解説

大木戸【おおきど】

江戸時代に江戸を発する街道の出入口に設けられた関門。東海道では高輪(たかなわ),甲州道中では四谷中山(なかせん)道では板橋宿にあり,街道交通の警備の要衝であった。

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改訂新版 世界大百科事典 「大木戸」の意味・わかりやすい解説

大木戸 (おおきど)

江戸時代に都市の出入口に設置された関門。町々の木戸よりも規模が大きい。江戸の芝高輪(たかなわ)の大木戸は,東海道の両脇に長さ5間,横4間,高さ1丈の土手石垣を築き,柵,門が設けられていた。付近には,道中の送迎の人々のための水茶屋や牡丹餅(ぼたもち)屋が並んでいた。また甲州街道では四谷,中山道では板橋宿の岩の坂上に大木戸があり,街道交通の警備の要衝であった。
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世界大百科事典(旧版)内の大木戸の言及

【四谷】より

…地名は街道の両側に四つの谷があるからとも,四谷見附付近は家が4軒しかなかったため四つ家といったともいう。1636年(寛永13)江戸築城の総仕上げの一環として,今もよくその遺構を残す赤坂~喰違(くいちがい)~四谷~市谷~牛込間の外堀,土居,外郭門を建設する際に外郭門を改めて四谷門と呼び,門外から大木戸(四谷4丁目)までを四谷と呼んだ。この時,現在の堀の部分にあった麴町11~13丁目は分断され,郭外の町屋になり昭和初期まで四谷区麴町11~13丁目があった。…

※「大木戸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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