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契丹文字 きったんもじKhitan script

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

契丹文字
きったんもじ
Khitan script

遼朝でつくられた契丹語を表わす文字。太祖のとき,ウイグル文字に範をとってつくられたと伝えられる。大字小字があり,大字は表意文字,小字は表音文字とみられる。契丹文字資料は,僅少であったが,1922年以来発掘された慶陵から皇帝,皇后の4つの哀冊碑文が発見され,豊富になった。しかし,まだ完全な解読はされていない。契丹民族の文字創成は,漢文化に対する民族的自覚の発露である。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

契丹文字

漢字を参考・借用して作られた表意文字「契丹大字」と、ウイグル文字の表記を参考に創作された「契丹小字」の2種類ある。大字は1600~1700文字が知られるが、発音が推定されているのは188字だけ。意味や文法など解読は進んでいない。

(2011-05-18 朝日新聞 夕刊 大文化)

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デジタル大辞泉の解説

きったん‐もじ【契丹文字】

契丹族が10世紀の代に制定し、でも使用された文字。字形漢字に似て、表意文字の大字と表音文字の小字とから成るが、現在もすべては解読されていない。

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百科事典マイペディアの解説

契丹文字【きったんもじ】

契丹(遼)で使われた文字。《遼史》の記録によって,大字と小字があったことが知られる。後者は突厥(とっけつ)文字と関係があるらしい。漢字に似た複雑な字形で解読はまだ十分でない。
→関連項目契丹語慶陵女真文字

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世界大百科事典 第2版の解説

きったんもじ【契丹文字】

契丹語(死語)を表記したの文字。漢字を参考に作った表意文字である契丹大字と,表意字形と表音字形を混用する契丹小字がある。大字は遼の太祖耶律阿保機(やりつあぼき)が920年(神冊5)に創案し,小字は数年後,太祖の弟の迭剌(てつらつ)がウイグルの使者から学んで作ったと記録される。小字の創作年代はつまびらかではないが,924年(天賛3)か925年と推定されている。近年,契丹文字の碑文が多く出土したため,資料が豊富になり,小字の解読がかなり進展したが,なお音価の不明な字形が多く,全体は依然として未解読のまま残っている。

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大辞林 第三版の解説

きったんもじ【契丹文字】

契丹で一〇世紀の初めに作られたモンゴル系の文字。遼代および金朝初期に用いられた。漢字に似た字形をしているが、現在もまだ十分には解読されていない。大字と小字の別がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

契丹文字
きったんもじ

契丹文字には大字と小字がある。大字は遼(りょう)の太祖耶律阿保機(やりつあぼき)が920年に制定し、その後、太祖の弟の迭剌(てつら)がウイグル語を参考として小字をつくった。大字は表意文字であり、小字は音価をもつ表音文字で、単独ないし2個以上7個までの小字を組み合わせた合成文字であり、1合成文字のうちに助詞や動詞の接尾語が含まれる。小字の組合せ順序は、普通には左から右に2個を限度として並べる。それ以上のときは下段に重ね、同一段の2個は左から右へ並べる。契丹文字は遼・金(きん)代に公用文字として用いられた。
 契丹文字は資料不足のためそのおおよそを推測するほかなかったが、1922年ベルギー人宣教師ケルビンが慶陵(けいりょう)で契丹文の哀冊(あいさく)(墓碑銘)を発見して学界に紹介した。哀冊は現在は瀋陽(しんよう)博物館に収蔵されているが、そのうち道宗と宣懿(せんい)皇后哀冊の蓋(ふた)と身1組、合計4面に契丹文字が記され、このほかに碑石は所在不明であるが、興宗と仁懿(じんい)皇后哀冊の契丹文を鈔写(しょうしゃ)した2葉が残っている。[河内良弘]

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世界大百科事典内の契丹文字の言及

【遼】より

…ただ大きく分ければ,アルタイ諸語系の中では契丹語,非アルタイ諸語では漢語(中国語)が重要な役割を果たしたことは疑いない。契丹語には本来文字がなかったため10世紀の初めより契丹文字(大字および小字)が作られた。この文字は12世紀初めまで使用されたが,以後は用いられなくなり,現在なお完全には解読されていない。…

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