嬉野(市)(読み)うれしの

日本大百科全書(ニッポニカ) 「嬉野(市)」の意味・わかりやすい解説

嬉野(市)
うれしの

佐賀県南西部にある市。2006年(平成18)、藤津(ふじつ)郡塩田町(しおたちょう)、嬉野町が合併、市制施行して成立。西部の長崎県境の山間地に源を発した塩田川が市の北部を東流し、南部から北上する吉田川を合流して有明海に注いでいる。塩田川上流の盆地にある嬉野温泉は歴史が古く、8世紀の『肥前国風土記(ひぜんのくにふどき)』に記録がみえる。江戸時代、嬉野宿を通過したケンペルシーボルトも嬉野温泉についての記録を残している。塩田町地区も長崎街道の塩田宿として、また塩田川河港として栄えた。古い町並みが残り、塩田津地区は重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。

 長崎自動車道が北西部を通過、嬉野インターチェンジが設置され、その近くには総合運動公園「みゆき公園」もつくられている。また国道34号が北西部を、498号が北東部を走る。嬉野温泉には、JR西九州新幹線の嬉野温泉駅、西九州新幹線およびJR佐世保(させぼ)線の武雄(たけお)温泉駅、JR大村(おおむら)線の彼杵(そのぎ)駅などからバスが通じる。平地では水田、丘陵地や盆地では果樹園や茶畑が広がる。とくに茶は良質なことで知られ、嬉野茶として人気がある。不動(ふどう)山皿屋(さらや)谷にある大チャノキは樹齢300年以上とされ、国指定天然記念物。焼物も重要な産業で、吉田皿屋には窯元(かまもと)が集まる。塩田町には「志田焼の里博物館」がつくられている。永寿寺(えいじゅじ)の不動明王および二童子像、豪商の邸宅であった西岡家住宅は国指定重要文化財、杉光陶器店は国指定登録有形文化財。八天(はってん)神社参道の石造眼鏡橋は県指定重要文化財、唐泉(とうせん)山のシイの天然林は県指定天然記念物、両岩の小浮立(もろいわのこぶりゅう)は県指定重要無形民俗文化財。面積126.41平方キロメートル、人口2万5848(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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