孤篷庵(読み)コホウアン

デジタル大辞泉 「孤篷庵」の意味・読み・例文・類語

こほう‐あん【孤篷庵】

京都大徳寺の塔頭たっちゅうの一。慶長17年(1612)小堀遠州竜光院内に創建し、のち大徳寺内に移築寛政5年(1793)に焼失したが、松平不昧再興茶室忘筌ぼうせん茶庭がある。

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精選版 日本国語大辞典 「孤篷庵」の意味・読み・例文・類語

こほう‐あん【孤篷庵】

  1. 京都市北区紫野大徳寺町にある大徳寺の塔頭(たっちゅう)の一つ。慶長一七年(一六一二)小堀遠州が龍光院内に建て、寛永二〇年(一六四三)現在地に移築したが、寛政五年(一七九三)焼失した。現在のものは、松平不昧(ふまい)援助で再興されたもの。遠州好みの茶室忘筌(ぼうせん)席と山雲床(さんうんじょう)があり、茶室の典型とされる。本堂書院と忘筌などは国重要文化財、庭は国史跡名勝に指定されている。

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日本歴史地名大系 「孤篷庵」の解説

孤篷庵
こほうあん

大徳寺の塔頭。境内西端にある。慶長一七年(一六一二)小堀遠江守政一(遠州)龍光りようこう院内に一小庵を創建したのに始まり、当地には寛永二〇年(一六四三)に移転したと伝える。開山は江月宗玩(都林泉名勝図会)。寛政五年(一七九三)火災により焼失したが、松江藩主松平治郷(不昧)再建、今日に至っている。本堂・書院は国指定重要文化財。茶室忘筌ぼうせんは四間三間、一重・切妻造・桟瓦葺の建物で、国指定重要文化財。

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改訂新版 世界大百科事典 「孤篷庵」の意味・わかりやすい解説

孤篷庵 (こほうあん)

京都大徳寺塔頭(たつちゆう)の一つ。寛永年間(1624-44)小堀遠州猶子の江雲宗竜を開祖として創立。創建時の建築は1793年(寛政5)焼亡し,まもなく松平不昧の援助で旧様どおりに再建された。本堂,書院,茶室は重文に指定され,ことに書院風茶室の忘筌席は名高い。またいま一つの茶室山雲床も,忘筌席同様遠州好みである。なお庭園は遠州好みではあるが,創建時の姿をとどめるかどうかは不明で,わずかに忘筌席の露地についてのみ,当時の指図に一致することが確認されている。寺宝では〈喜左衛門〉銘の井戸茶碗が国宝。
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百科事典マイペディア 「孤篷庵」の意味・わかりやすい解説

孤篷庵【こほうあん】

京都大徳寺塔頭の一つ。小堀遠州が1643年創建,1793年火災にあったが,のち松平不昧の援助により復原された。篷は舟の上をおおう苫(とま)のことで,孤篷は孤舟の意。忘筌(ぼうせん)の席は十二畳の書院式茶室で,その露地とともにすぐれた意匠として名高い。ほかに竜光院の密庵を模した山雲床の席がある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「孤篷庵」の意味・わかりやすい解説

孤篷庵
こほうあん

京都市北区にある臨済宗大徳寺の塔頭。開山は江月宗玩とされ,大徳寺境内の西方に位置する。小堀遠州が竜光院内に小さな庵を建て,寛永 20 (1643) 年に現在地に移転したが,火災により消失,のちに松平不昧の援助で再建されたもの。本堂,書院,茶室忘筌 (ぼうせん) は重要文化財。庭園は史跡・名勝に指定され,本堂前庭と忘筌前庭,書院前庭,山雲床前庭から構成される。本堂前庭は借景庭園,書院前庭は枯山水庭園。寺宝として国宝の井戸茶碗 (銘喜左衛門) ,重要文化財の大燈国師 (→妙超 ) 墨跡を所蔵する。

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世界大百科事典(旧版)内の孤篷庵の言及

【小堀遠州】より

…江戸初期の茶人,遠州流の祖,また江戸幕府の奉行として建築,土木,造園を手がけた。名は政一,通称作介,号は孤篷庵。近江国小堀村(現,長浜市)に生まれる。…

【大徳寺】より

…伽藍の南にある竜源院の本堂(重要文化財)は大仙院本堂に次ぐ古さで,黄梅院の庫裏(1589,重要文化財)は年代の判明する禅宗塔頭庫裏では最古の遺構であり,また同時期の方丈(1588,重要文化財)とそろって残る例として珍しい。伽藍の西に所在する高桐(こうとう)院には《山水図》(南宋時代,国宝),竜光院には燿変天目茶碗(南宋時代,国宝),小堀遠州の設計になる四畳半台目茶室密庵(みつたん)(密庵席)をもった書院(江戸初期,国宝),孤篷(こほう)庵には古来より大名物として知られる井戸茶碗(銘喜左衛門。李朝時代,国宝),茶室忘筌(ぼうせん)(忘筌席。…

【忘筌席】より

…京都大徳寺の塔頭(たつちゆう)孤篷庵(こほうあん)の茶室。孤篷庵の建物は小堀遠州最晩年の作品であったが,1793年(寛政5)に焼失した。…

※「孤篷庵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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