家伝(読み)カデン

百科事典マイペディアの解説

家伝【かでん】

藤原氏の祖先の事蹟を記した伝記。《藤氏家伝》とも。760年―762年頃成立。〈家伝〉とは貴族の家々の家譜,系図,祖先伝承を記した書の意味だが,その中の一つである藤原氏の家伝が典型として残り,この名で呼ばれる。始祖鎌足の伝記(〈鎌足伝〉〈大織冠伝〉)を上巻とし,その孫にあたる藤原武智麻呂の〈武智麻呂伝〉を下巻とする。鎌足の長子〈貞慧伝〉を付すものもある。著者は,上巻藤原仲麻呂恵美押勝),下巻延慶とされる。美化や誇張が多いが,奈良前期の政治文化を知る重要史料とされる。

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世界大百科事典 第2版の解説

かでん【家伝】

藤原氏祖先の伝記。《藤氏家伝》ともいう。始祖〈鎌足伝〉(〈大織冠伝〉)を上巻,鎌足の孫〈武智麻呂(むちまろ)伝〉を下巻として《群書類従》に収められている。伏見宮家本には鎌足の長子〈貞慧(定恵)伝〉を付す。次子〈史(不比等)伝〉ははやく失われたとある。上巻の撰者大師と記すが,大師は太政大臣の唐名で,武智麻呂の次子藤原仲麻呂(恵美押勝)がそれに任ぜられた。彼が曾祖父顕彰のため760‐761年(天平宝字4‐5)ころに編纂したと推定される。

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大辞林 第三版の解説

かでん【家伝】

家に代々伝わること。また、伝えられる物事。相伝。 「 -の名刀」
家に伝えられた事跡を記した書物。

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精選版 日本国語大辞典の解説

か‐でん【家伝】

〘名〙
① その家に先祖代々伝わっていること。また、そのもの。また、学説などが師弟の間で伝承されること。また、その伝わっているもの。相伝
※蔭凉軒日録‐長享二年(1488)一二月一六日「愚云、大亨和尚其人如何々々。坡云、開山直弟也。精易。大亨小師玉潭。々々小師栴望。代々伝易々家伝也云々」
※歌舞伎・お染久松色読販(1813)中幕「お染へ持参の家伝の良薬」 〔陳書‐江総伝〕
② 相承される家の事蹟を記した書物。家に言い伝えられた事柄を編んだ書物。令制では、功績のある家々の記録が式部省に集められて編集、保管されていた。〔令集解(868)〕〔謝霊運‐山居賦〕

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世界大百科事典内の家伝の言及

【延慶】より

…生没年不詳。藤原氏《家伝》下巻〈武智麻呂伝〉の著者。《続日本紀》天平宝字2年(758)8月2日条に〈外従五位下僧延慶,形俗に異なるをもって,その爵位を辞す。…

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