日本大百科全書(ニッポニカ) 「富士見(市)」の意味・わかりやすい解説
富士見(市)
ふじみ
埼玉県南部にある市。1956年(昭和31)鶴瀬(つるせ)、南畑(なんばた)、水谷の3村が合併して富士見村となり、1964年町制施行。1972年市制施行。東武鉄道東上線鶴瀬駅・みずほ台駅・ふじみ野駅があり、国道254号、富士見川越道路(国道254号バイパス)、463号が通じる。武蔵野台地(むさしのだいち)と荒川低地にまたがり中央部を新河岸川(しんがしがわ)が流れる。第二次世界大戦後しばらくは農村地域であったが、昭和30年代後半から、東京近郊という地域的特性も加わって急激に都市化し、公団住宅はじめ住宅地が急増、現在も都市化が進んでいる。江戸時代は新河岸川舟運の河岸場で、市域内には6か所の河岸があり、舟問屋や舟宿が並び、活況を呈した。台地と低地の接点にあるため、縄文時代には海水が入り込み、台地に縄文前期の水子貝塚(みずこかいづか)(国指定史跡)をはじめ貝塚が多い。また南畑には武蔵七党の一つ村山党の灘波田(なんばた)氏館跡がある。面積19.77平方キロメートル、人口11万1859(2020)。
[中山正民]
『『富士見のあゆみ』(1982・富士見市)』▽『『富士見市史』全9巻(1984~1994・富士見市)』