審級(読み)シンキュウ

デジタル大辞泉 「審級」の意味・読み・例文・類語

しん‐きゅう〔‐キフ〕【審級】

訴訟事件を異なる階級裁判所反復審判させる場合の裁判所間の序列日本司法制度は原則として三審級をとる。→三審制度

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精選版 日本国語大辞典 「審級」の意味・読み・例文・類語

しん‐きゅう‥キフ【審級】

  1. 〘 名詞 〙 ある訴訟事件を異なる階級の裁判所で繰り返し審判させる場合、その裁判所間の審判の順序上下の関係をいう。日本では、三審級を原則としている。→三審制度
    1. [初出の実例]「各審級に於て支出す可き訴訟費用の額を標準と為す可し」(出典:民事訴訟法(明治二三年)(1890)八九条)

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改訂新版 世界大百科事典 「審級」の意味・わかりやすい解説

審級 (しんきゅう)

同一の事件が,上訴を通じて何回か繰り返して審判されるとき,その一つ一つを審級という。例えば,控訴上告が許されている場合には,第一審,控訴審上告審のそれぞれが審級となる。一定の種類の事件について,法律上,どのような審級が用意されているかを審級制度という。最も単純な審級制度は,第一審限りで上訴をまったく認めない一審制であるが,これは近代的な司法制度の中では例外的である。現在は,二審制または三審制がほとんどである。二審制の典型は,第一審の判決に対して,法律的な誤りを理由とする1回の上訴だけを予定するもので,アメリカの多くの州の民事刑事の裁判や,ドイツの刑事の重大事件の裁判などに,その例が見られる。陪審制度の下では,伝統的に事実の認定は陪審の専権とされ,事実問題に関する上訴を禁止または制限する傾向があり,陪審制度は,上に述べたような二審制と結びつきやすい。三審制の典型は,第一審判決に対し,事実問題に関する上訴(控訴)を許し,さらに第二審の判決に対して法律問題を理由とする上訴(上告)を許すものである。この種の三審制は,ヨーロッパ大陸諸国の法制にしばしば見られる。日本の現行法は,図に示すとおり,民事・刑事を通じて原則的にすべての訴訟事件について三審制を採用している(例外としては,裁判所法16条4号(内乱罪に係る訴訟は高等裁判所が第一審となる)や独占禁止法85条(公正取引委員会の審決に係る訴訟等は東京高等裁判所が第一審となる)などに規定された,高等裁判所が第一審となる特殊な事件における二審制がある)。ただし,民事でも刑事でも,控訴を省略して,第一審判決に対してただちに上告を申し立てられる場合がある(跳躍上告)。民事と刑事とで異なる点は,刑事訴訟では,控訴事件はすべて高等裁判所が管轄し,上告事件は最高裁判所が管轄するのに対して,民事訴訟では,同じ原則をとりながらも,第一審が簡易裁判所の管轄に属する事件に限り,控訴審が地方裁判所,上告審が高等裁判所となる点である。
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百科事典マイペディア 「審級」の意味・わかりやすい解説

審級【しんきゅう】

正しい裁判のために,訴訟事件を異なった階級の裁判所で反復審理させる制度がとられるが,その場合に決められる裁判所間の審判における順序関係をいう。日本では,裁判所には4階級があるが,訴訟事件に関する審理の上では三審制度がとられ,三つの審級が認められている。民事訴訟では,第一審は地方裁判所(訴額140万円以上の場合)と簡易裁判所(140万円未満の場合)で,第二・三審は,前者ではそれぞれ高等裁判所および最高裁判所,後者ではそれぞれ地方および高等裁判所。刑事訴訟では,簡易・地方・家庭裁判所がそれぞれ第一審となり,第二審は高等裁判所,第三審は最高裁判所。なお刑事のうち内乱罪については,第一審が高等裁判所で,最高裁判所に上告できるのみ。行政事件訴訟では第一審を地方裁判所とする民事の審級と同じ。以上のほか若干の特別管轄がある。
→関連項目差戻し事実審終局判決

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「審級」の意味・わかりやすい解説

審級
しんきゅう

裁判所に上下の階級を設け、下級裁判所の裁判に対し上級裁判所へ不服を申し立てることを認め、同一訴訟事件を異なる階級の裁判所で反復審判する上訴制度における裁判所間の審判の順序、上下の関係を審級という。日本の司法制度は裁判所に4階級(簡易裁判所・地方裁判所・高等裁判所・最高裁判所)を設けているが、訴訟上は原則として三審制をとっている。

[内田武吉]

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