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少数者の権利 しょうすうしゃのけんりminority rights

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

少数者の権利
しょうすうしゃのけんり
minority rights

国家,社会,集団内の少数派や,多民族国家内の少数民族権利。近代民主主義(→民主主義)下の多数決原理は貴族や僧侶などの特権的階級に対して,数において多数である中産階級以下の諸権利を擁護しようとした。しかし多数決原理による国家,社会,集団などの集団意思決定は,アレクシス・ド・トックビルやジョン・スチュアート・ミルが指摘したようにいわゆる多数者の専制圧制を招来する危険性がある。ここから少数者の権利の意味があらためて考慮され始めた。たとえば,議決方法における全員一致や条件つきの多数決,選挙制度における比例代表制や少数代表制の導入,また内容に関しては多数派といえども基本的人権を侵害する立法はできないという観念の成立,などがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

少数者の権利
しょうすうしゃのけんり
rights of minority

少数者の権利が何を意味するかは、少数者をどのように理解するかによって異なる。いうまでもなく少数者は多数者に対する対立概念であるから、多数の横暴や専制から少数者を保護するために少数者の権利が主張される。現代のデモクラシーにおいては、意思決定に多数決の原理が用いられるから、とかく少数者の意見が無視される傾向が生ずる。したがって、多数決の欠陥を補完するものとして少数者の権利が強調される。
 今日、少数者の権利がとくに問題となるのは、たまたまある問題に関して少数の立場にたつ人々のことではなくて、人種的・民族的・文化的・言語的・宗教的背景から社会のなかで従属的・被差別的地位に置かれている、他と明確に区別された存在としての人々の集団に関してである。これらの少数者は、その社会の支配階級あるいは優越集団によって権利を奪われ、あるいは経済的搾取の対象となり、その集団的自己同一性をも否定されかねないので、これを特別に保護する必要が生ずる。社会的弱者であれば数的に多数であっても少数者といわれることがある。少数者の権利は、全体としての少数者集団の集団としての権利を意味するとともに、少数者集団に属する個々の人間の権利をいうこともある。少数者の権利を法的に規定した典型的な例は、「国際人権規約B規約」の第27条にみられるが、ここでは少数者集団に属する個々人の権利の保障に限定している。[飯坂良明]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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