尚歯会(読み)しょうしかい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

尚歯会
しょうしかい

江戸時代後期の蘭学者の団体。天保年間 (1830~44) ,先駆的洋学者渡辺崋山高野長英らが組織したもので,単なる交友グループではなく,当時の政治・社会問題,あるいは海防問題について研究しながら識者層に呼びかける実践的な結社でもあった。洋学者の結社であったから蛮社ともいわれ,幕府の洋学禁止政策に触れて天保 10 (39) 年いわゆる蛮社の獄で同会のおもだった学者はほとんど処罰され,事実上解消したが,この会からは川路聖謨 (としあきら) ,江川太郎左衛門など,幕府の要職にあって,後年,海防,外交面に活躍した多くの人材を輩出している。また,もと田原藩主三宅友信も後援者となっていた。

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デジタル大辞泉の解説

しょうし‐かい〔シヤウシクワイ〕【尚歯会】


老人を尊敬し、その高齢を祝うために催す宴。もと中国の風習で、唐の白楽天が行ったのが最初。しょうしえ。
老人を集めて娯楽などを行う会。敬老会。
江戸後期、紀州藩儒官の遠藤勝助が主宰し、渡辺崋山(わたなべかざん)高野長英らが参加した洋学研究の会。蛮社の獄で壊滅。

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世界大百科事典 第2版の解説

しょうしかい【尚歯会】

1833年(天保4)以来,数年にわたる天保の飢饉の際,紀州藩儒遠藤勝助が有志を募って飢饉対策のために設けたのがはじめで,のちに新知識や新情報交換の会合となった。この会合をもって渡辺崋山,高野長英を中心とする洋学研究団体とみなす説があるが,崋山,長英が尚歯会の有力メンバーであったにしろ,会合の主宰者が遠藤そのひとであることは,当時の文献に〈遠藤勝助尚歯会〉と明記されていることから知られる。尚歯会での飢饉対策の成果としては,遠藤勝助の《救荒便覧》,高野長英の《救荒二物考》《避疫要法》などがあげられる。

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大辞林 第三版の解説

しょうしかい【尚歯会】

老人を尊び、長寿を祝う会。平安時代、中国の風習にならって行われた宴。七人の老人が会し、詩歌を作り、楽を奏して楽しんだ。
江戸後期、飢饉の対策のために紀州藩儒遠藤勝助が主宰した会。のち、渡辺崋山・高野長英らが集い知識や情報を交換する会となる。1839年蛮社の獄で壊滅。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

尚歯会
しょうしかい

(1)尚歯とは敬老を意味し、高齢者が集まって詩歌管絃(かんげん)の宴を催すこと。平安時代、白楽天の例に倣って南淵年名(みなみぶちのとしな)(807―877)が小野山荘で催したのが最初。のち和歌・俳句の会ともなった。
(2)江戸後期、蘭学(らんがく)者を中心とする交友・研究結社。主宰は紀州藩儒官遠藤勝助(しょうすけ)。渡辺崋山(かざん)、高野長英(ちょうえい)、江川英龍(ひでたつ)、川路聖謨(かわじとしあきら)らが集まったが、蛮社(ばんしゃ)の獄で壊滅した。[編集部]

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精選版 日本国語大辞典の解説

しょうし‐え シャウシヱ【尚歯会】

しょうし‐かい シャウシクヮイ【尚歯会】

[1] 〘名〙
老人を尊敬し、その高齢を祝うために、招いて催す宴。酒を飲み詩歌をつくり音楽などを奏して楽しむ。七叟(しちそう)といって主人をいれて七人の老人が集まるのを常とし、上座から年長の順にすわり、それ以外の相伴(しょうばん)の客である垣下(えんが)は別座につらなった。もと中国の風習で、八四五年に唐の白居易が履道坊で催したのが最初で、日本では貞観一九年(八七七)三月、大納言南淵年名が小野山荘で催したのが最初。しょうしえ。
※菅家文草(900頃)二「暮春、見南亜相山荘尚歯会」 〔古今著聞集(1254)〕 〔白居易‐九老図詩序〕
② 高齢者を祝う会。また、老人を集めて慰安する会。敬老会。
※狂歌・蜀山百首(1818)雑「つる九百九十九ねんめ亀九千九百九十九ああ尚歯会」
[2] 江戸後期、洋学者を中心に新知識交換のためにできた結社の名。紀州藩儒遠藤勝助が主宰。渡辺崋山・高野長英、幕臣江川英龍・川路聖謨らが集まり、社会事業や海防・国際上の問題を研究したが、天保一〇年(一八三九)「蛮社の獄」で壊滅させられた。

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世界大百科事典内の尚歯会の言及

【渡辺崋山】より

…洋画への傾倒は蘭学を学ぶ素地をつくったが,本格的に蘭学研究を始めるのは1832年(天保3)家老にあげられ,海岸掛を兼務して以来である。崋山は高野長英,小関三英らの蘭学者に蘭書の翻訳を依頼し尚歯会(しようしかい)を結成して西洋事情を研究した。そのころようやく海防が問題化した時期であったため,彼の学識を慕って集まる知識人が少なくなかった。…

※「尚歯会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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