(読み)ヤワ

デジタル大辞泉 「柔」の意味・読み・例文・類語

やわ〔やは〕【柔】

[形動][文][ナリ]わらかいさま。こわれやすいさま。また、ひよわなさま。「なからだつき」「な造りの門扉」「な精神」
[類語]弱いもろやわ軟弱脆弱ぜいじゃく繊弱孱弱せんじゃく華奢きゃしゃか弱いひ弱い小心弱気引っ込み思案気弱内弁慶陰弁慶臆病大人しいこわがり内気怯懦きょうだ怯弱きょうじゃく意気地なし小胆小心翼翼弱腰薄弱惰弱柔弱優柔不断弱弱しい女女しい弱音を吐く音を上げる悲鳴を上げる気が弱い腰が弱い煮え切らない肝が小さい肝っ玉が小さい温順柔順従順温柔温良順良素直穏和おだやか物静かおとなしやか控えめ優しい内向的人見知りしんねりむっつりシャイひよわ虚弱羸弱るいじゃく尩弱おうじゃく病弱劣弱弱体まだるっこいまどろっこい手ぬるい生ぬるいのろ臭い間怠まだる間怠まだるこしいうやむやあやふや漠然おぼろげ曖昧どっちつかず要領を得ないぬらりくらりぬらくらのらりくらりのらくらぼやかす無節操洞ヶ峠言を左右にする言葉を濁す心静か安らか安穏のどか悠長悠然悠悠悠揚浩然どっしり気長伸び伸び伸びやかのんびり屈託無い自然体のんどりしなやかしとやかなよやかなよなよしっとり物柔らか静静しずしずソフトおっとり婉然えんぜんしおらしい閑語たおやかナイーブ心優しい柔和温雅鷹揚おうよう静心しずこころ従容しょうよう悠悠閑閑おおどかつつましい奥ゆかしい泰然自若平静冷静しみじみしっぽりしんみり静まる温顔温容春風駘蕩たいとう穏便粛粛静謐せいひつ静粛

じゅう【柔】[漢字項目]

常用漢字] [音]ジュウジウ)(漢) ニュウ(ニウ)(慣) [訓]やわらか やわらかい やわら
〈ジュウ〉
やわらかい。しなやかで弱い。「柔軟優柔不断
心がやさしい。おだやか。「柔順温柔外柔内剛
やわらげる。「懐柔
武術武道の一。やわら。「柔術柔道
ニュウ
しなやかで弱い。「柔弱
心がやさしい。「柔和
[名のり]とお・なり・やす・やわ・よし

にゅう【柔】[漢字項目]

じゅう

じゅう〔ジウ〕【柔】

やわらかいこと。また、そのもの。「外内剛」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「柔」の意味・読み・例文・類語

やわやは【柔・和】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ものやわらかなさま。柔和なさま。また、ひよわなさま。丈夫でなく弱々しいさま。こわれやすいさま。
    1. [初出の実例]「兎角人の内は、女房が柔(ヤハ)だと収りゃア付ねへやつヨ」(出典:人情本・春の若草(1830‐44)四)
    2. 「力もやはだが、皮膚もまだよく厚く出来てゐないらしく」(出典:贅沢貧乏(1960)〈森茉莉〉)

じゅうジウ【柔】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) やわらかいこと。おとなしいこと。また、そのさまやそのもの。
    1. [初出の実例]「剛は陽、柔は陰也」(出典:史記抄(1477)三)
    2. 「葦は柔にして能く風に順ひ」(出典:日本読本(1887)〈新保磐次〉四)
    3. [その他の文献]〔書経‐皐陶謨〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「柔」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

(異体字)
25画

[字音] ジュウ(ジウ)・ニュウ(ニウ)
[字訓] やわらか

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
矛(ぼう)+木。〔説文〕六上に「木、曲直するなり」とし、矛声。また〔段注〕に木を曲直するを矛というとするが、いずれも声義が合わない。字の初文は、おそらくに作るもので、「きを柔らげ、きを能(をさ)む」という語を金文に「きを(やは)らげ、(ちか)きを能む」のようにしるしている。(ゆう)に従い、は酒器。(どう)は礼装した人が酒に酔い、両袖を揚げ、足をあげて歌舞する形。「擾(みだ)れる」の初文は、もとに従うべき字である。神前に酒を酌み、手足をあげて歌舞し、神意を安んじ柔らげることをいうもので、のち柔の字を代用する。柔に含まれる矛形の部分は柔枝を揉撓(じゅうとう)(ためまげる)した形を示すものとみるべく、矛戟の字に従うものではない。と柔は声近く、のち柔を用い、の字は失われた。〔説文〕(しゆ)部九上に「は面和するなり。讀みて柔の(ごと)くす」とあり、そのが、おそらくの省変の字であろう。

[訓義]
1. やわらか、やわらげる、神意をやわらげる。もとに作る字である。
2. やすらか、おだやか、いつくしむ。
3. しなやか、木の枝をたわめる。
4. よわい、もろい、おだやか、したがう。

[古辞書の訓]
名義抄〕柔 ヤハラカニ・ヤハラカナリ・ヤスシ・ヤスクス・ヨシ・ワロシ 〔字鏡集〕柔 ヨシ・ヤハラカナリ・ヤスクス・ヨハシ・アツラカ・アツム・ヤスシ・ヤハラグ・シタガフ

[声系]
〔説文〕に柔声として鞣・など八字を収める。みな柔らげて曲直を加える意のある字である。

[語系]
柔・鞣・脇・njiuは同声。擾()・njiuも同声。擾は古くはに従う字で、この字形に近い(き)は〔書、舜典〕に神話的な楽祖として伝えられる。柔弱の意は柔の字義で、(肉)njiuk、(弱)njikはその系統の語である。

[熟語]
柔握・柔安・柔易・柔瑩・柔液・柔遠・柔婉・柔・柔嘉・柔革・柔滑・柔奸・柔竿・柔閑・柔・柔彊・柔郷・柔謹・柔恵・柔謙・柔愿・柔剛・柔毫・柔克・柔剋・柔日・柔弱・柔従・柔淑・柔順・柔潤・柔条・柔情・柔穣・柔心・柔仁・柔・柔舌・柔懦・柔態・柔穉・柔腸・柔橈・柔・柔軟・柔・柔範・柔轡・柔媚・柔撫・柔風・柔木・柔麻・柔曼・柔民・柔冶・柔良・柔麗・柔櫓・柔和
[下接語]
温柔・懐柔・外柔・涵柔・寛柔・軽柔・謙柔・剛柔・克柔・細柔・弱柔・輯柔・仁柔・繊柔・善柔・体柔・卑柔・撫柔・芳柔・優柔・和柔

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「柔」の意味・わかりやすい解説


やわら

柔術(じゅうじゅつ)の俗称。和、柔和、弥和羅(やわら)、和術(わじゅつ)、和儀(やわらぎ)などとも書いた。中世以来の戦場技術としての甲冑組討(かっちゅうくみう)ちは、ただ自分の体力や腕力に任せて、一挙に敵を圧倒しこれをしとめることが主体で、強剛の敵に強くしかけられたときには、かえって相手に取(と)り挫(ひし)がれる危険があった。そこで、相手の力をかりて、引き込み、投げ返し、はね返して、後(ご)の勝ちを第一とする術が重要視されるようになった。とくに足軽の集団戦闘が増大すると、手搏(しゅばく)・捕手(ほしゅ)の術が考案され、やがて素肌者(すはだもの)同士の近世の柔術へと大きく発展を遂げた。その先駆となったのは、天文(てんぶん)年間(1532~55)作州(さくしゅう)(岡山県)の竹内中務大夫久盛(たけのうちなかつかさだゆうひさもり)が創始した小具足腰廻(こぐそくこしのまわり)で、ついで、近世の初め1622年(元和8)に福野七郎右衛門(しちろうえもん)の考案した良移心当和(りょういしんとうやわら)や、水早長左衛門信正(みずはやちょうざえもんのぶまさ)の制剛流(せいごうりゅう)やわら五身伝(ごしんでん)が現れ、寛永(かんえい)年間(1624~44)には寺田平左衛門の貞心流(ていしんりゅう)解(ほぐれ)や茨木専斎(いばらぎせんさい)の起倒流(きとうりゅう)流(みだれ)、小栗(おぐり)仁右衛門の小栗流和術(わじゅつ)、さらに関口氏心(うじむね)の新心流(しんしんりゅう)柔(やわら)などが相次いで成立するに至った。

[渡邉一郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉プラス 「柔」の解説

日本のポピュラー音楽。歌は女性歌手、美空ひばり。1964年発売。作詞:関沢新一、作曲:古賀政男。同年より日本テレビ系列で放送されたドラマ「柔(やわら)」の主題歌に起用。1965年、第7回日本レコード大賞受賞。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

改訂新版 世界大百科事典 「柔」の意味・わかりやすい解説

柔 (やわら)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「柔」の意味・わかりやすい解説

柔【やわら】

柔術

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「柔」の意味・わかりやすい解説


やわら

柔術」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【柔道】より

…古来の柔術に改良を加えて創始された武道。嘉納治五郎は体育,修心,勝負を目的とする教育的観点から講道館柔道を創始した。…

【美空ひばり】より

… 1962年,日活のアクション・スター小林旭(1938‐ )と結婚,しかし〈スター同士の結婚〉は長続きせず,64年に離婚する。翌65年,作曲に古賀政男を得た《柔(やわら)》によって初のレコード大賞(第7回)を受賞,続く66年にも古賀政男の《悲しい酒》でヒットを飛ばし,〈演歌の女王〉〈歌謡曲の女王〉としての貫禄も示すようになる。 だが,その後1960年代末から70年代,80年代にかけては,歌謡界(そしてそれを取りまく社会)の状況の変化もあって新しいヒットが生まれず,また,弟かとう哲也のたび重なる逮捕事件,暴力団との関係が取りざたされたことなどもあって,多くの社会的批判を浴びることとなった。…

※「柔」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android