立体の面をその面の量(長さ・角度など)を変えずに平面上に移すこと(合同変換)を展開といい、その移された平面図形を展開図という。面が平面である多面体の場合には完全な展開図が得られるが、曲面の場合はかならずしもそうではない。完全な展開図の可能な面を可展面という。それは直線(母線)の移動によってできる曲面である線織面のなかでも限られたもので、単曲面が該当する。円柱・円錐(えんすい)・類似螺旋(らせん)面(螺線の接線により構成される面)などがその代表例である。曲面では、可展面といっても、原理的に可能だということであって、展開法は近似法によって求めるのが普通である。
多面体の展開図は多角形のつながりとして表される。直円柱の展開図は側面からできる長方形と二つの底面の円からできている。また、直円錐の展開図は側面からできる扇形と底面の円からできている。
たとえば、斜円錐では、底円の円周を等分し、その等分点と斜円錐の頂点をおのおの頂点とする多角錐を仮定する。多角錐の展開は、稜(りょう)の実長、面の実形が求めやすいので、容易である。その際、等分点の数を増せば、多角錐は円錐に近似しうるので、より近似した展開図が得られる。これは展開図の形から放射線法といわれる。
このように円錐は、円柱と同様、展開図が得られやすいので、可展面でない曲面をその部分ごとにこれらで近似させ、それをさらに多面体で近似展開する方法がある。しかし、一般的には、曲面上の点を結んでできる小三角形よりなる多面体に近似する方法がとられる。三角形法という。
展開図の作成目的は種々(たとえば建築での室内展開図など)あるが、そのなかで重要なものとして測地線の問題がある。測地線とは、面上の2点間の最短距離を示す線であるが、その面の展開図上では、その線は直線となる。したがって、2点の展開図上の位置を求め、それを直線で結び、展開図を元の面に戻す際にこの直線上の各点を面上に移すことで、測地線が求められる。
[玉腰芳夫]
空間にある立体に適当な切れめを入れて,それを1平面上に広げることをその立体を平面上に展開するといい,このとき平面に現れる図をその立体の展開図という。例えば,直円錐と正十二面体の展開図は図1,2のようになる。
執筆者:中岡 稔
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…(5)回転投影図 ボスからある角度で腕が出ているような品物の場合には,その部分を一直線上まで回転して,その実形を図示するのがよい(図3-d)。(6)展開図 板を曲げてつくるような品物の場合には,曲げ加工を行う前の形状を展開図として図示しておくのがよい。(7)対称図形の省略 対称形状の品物の場合には,省力化のために対称中心線の片側の図形だけをかくことができる。…
※「展開図」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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