山南(読み)さんなん

日本歴史地名大系 「山南」の解説

山南
さんなん

戦国時代にみえる地名。現大和村比敷ひじき村之郷むらのごう宮内みやうちおよび現瑞穂みずほ布施ふせ付近に比定される。永正九年(一五一四)六月一日の小笠原長隆判物(庵原家文書)によると、川本かわもと(現川本町)に本拠を置く長隆が被官の井原民部左衛門に「山南比敷之内あさり名、同ふせの内かちや名」など代々の給地(五ヵ所、分銭一一貫文の地)を本領として認めており、この時期小笠原氏は江川筋に近いこの地域に一定の所領を保持していた。毛利氏の石見進出が本格化した天文(一五三二―五五)末から弘治年間(一五五五―五八)にかけて、この地はいちはやく毛利氏の支配下に入ったとみられ、弘治二年四月八日には毛利元就・隆元が出羽民部大輔(元祐)に山南半分ほかを宛行い(「毛利元就・同隆元連署充行状」閥閲録)、永禄三年(一五六〇)二月二四日には山南のうち「村」(現在の村之郷)五五貫の地が出羽民部大輔に与えられている(「毛利元就・同隆元連署書状」同書)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「山南」の意味・わかりやすい解説

山南
さんなん

兵庫県のほぼ中央部、氷上郡(ひかみぐん)にあった旧町名(山南町(ちょう))。現在は丹波(たんば)市の南端を占める一地区。1955年(昭和30)上久下(かみくげ)、久下、小川の3村が合併して町制施行。1957年和田村と合併。2004年(平成16)柏原(かいばら)町、氷上町青垣(あおがき)町、春日(かすが)町、市島(いちじま)町と合併、市制施行して丹波市となる。旧町域は、加古川(かこがわ)上流の佐治(さじ)川と篠山(ささやま)川が合流する盆地にある。早くから開けた地で、古墳が多く、条里遺構が残る。中心集落の谷川(たにがわ)はJR福知山線加古川線の分岐駅で、国道175号も通る交通の要地。農業は米作のほか、花卉(かき)、野菜、果樹栽培も行われる。特産は丹波グリ、和田の薬草など。また割箸(わりばし)、釣り竿(ざお)なども知られる。聖徳太子草創と伝えられる石龕寺(せきがんじ)には、鎌倉時代の仏師定慶(じょうけい)の手による木造金剛力士(こんごうりきし)立像(仁王像)2躯(く)があり、国の重要文化財となっている。国指定重要文化財として、ほかに常勝寺の銅造十一面千手観音(せんじゅかんのん)立像と木造薬師如来(やくしにょらい)坐像、旧友井家住宅金屋(かなや)の十三塚がある。

[二木敏篤]

『『山南町誌』全3巻(1988~ ・山南町)』

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百科事典マイペディア 「山南」の意味・わかりやすい解説

山南[町]【さんなん】

兵庫県中部,氷上(ひかみ)郡の旧町。大部分は篠山(ささやま)川流域の山地で,製材・パルプ工業が行われ,丹波グリを特産するほか,薬草栽培,織物工業も盛ん。釣具,割箸なども産する。福知山線が通じ加古川線が分岐する。2004年11月氷上郡柏原町,氷上町,青垣町,春日町,市島町と合併し市制,丹波市となる。98.16km2。1万3708人(2003)。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「山南」の意味・わかりやすい解説

山南
さんなん

兵庫県中東部,丹波市南部の旧町域。加古川支流の篠山川と佐治川の合流点付近に広がる。 1955年上久下村,久下村,小川村の3村が合体して町制。 1957年和田村と合体。 2004年柏原町,氷上町,青垣町,春日町,市島町と合体して丹波市となった。約 80%が山地で,製材,パルプ工業のほか釣竿の生産が行なわれる。 1965年の農村工業導入促進法で家具インテリア工場も進出。丹波栗の本場として有名。

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改訂新版 世界大百科事典 「山南」の意味・わかりやすい解説

山南 (さんなん)

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世界大百科事典(旧版)内の山南の言及

【琉球】より

…按司は〈ぐすく(城)〉と称する城塞を築造して抗争し,12世紀末から13世紀には舜天,英祖などの強大な按司が出現し,14世紀に入ると沖縄本島を中心に〈三山(さんざん)〉と呼ばれる小国家が出現した。北部には今帰仁(なきじん)城を拠点とする〈山北(さんほく)(北山)〉が,中部には浦添(うらそえ)城(のちに首里(しゆり)城)を拠点とする〈中山(ちゆうざん)〉が,南部には島尻大里(しまじりおおざと)城(一時は島添(しまそえ)大里城)を拠点とする〈山南(さんなん)(南山)〉が割拠して互いに覇を競った。 1372年中山王察度(さつと)は中国に誕生した明朝の太祖洪武帝の招諭を受け入れて初めて入貢し,その冊封(さくほう)体制の一員となった。…

※「山南」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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