山論(読み)さんろん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

山論
さんろん

「やまろん」ともいう。江戸時代山林,原野などの帰属,利用権をめぐる争論。初期には検地による近世的村落成立の際の境界決定をめぐるものが多く,この場合,山林,原野自体の帰属を争うことが多かった。中期以降は利用,用益 (→入会権 ) をめぐる争いが多く,その典型的な争議形態はA村に属する山林原野にB村,あるいはC村が入会権を主張して争論となる例である。また一村内の利用権の優劣をめぐるものもあった。山論の解決については領主は当事者の和解を奨励したが,利害が根本的なだけに,領主の裁定により決着する例が多く,また他領域にまたがる場合は幕府の裁定を待たなければならなかった。

山論
やまろん

山論」のページをご覧ください。

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百科事典マイペディアの解説

山論【さんろん】

江戸時代,山林,原野など入会(いりあい)地の境界や用益をめぐる村落間の紛争のこと。紛争は通常,領主に訴え奉行所の裁許によって決するが,広域にわたる時は幕府評定所の裁許によることが多かった。→入会水論

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世界大百科事典 第2版の解説

さんろん【山論】

〈やまろん〉ともいう。山林原野の用益をめぐって発生する紛争。山野利用の具体的な内容は,(1)果実等の採取,(2)狩猟,(3)薪炭等の燃料,(4)建築用材,(5)薬や染料,(6)飼料,(7)肥料,(8)鉱物地下資源,(9)灌漑用水等,実に多様であり,かつ農民の生活と生産の再生産にとって非常に重要なものであった。
中世
 古代では養老令の雑令に〈山川藪沢の利,公私之(これ)を共にせよ〉と規定があり,一時的な占有は認められても,特定の人が永続的,排他的に占有することは排除されるべきものであった。

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精選版 日本国語大辞典の解説

さん‐ろん【山論】

〘名〙 山林原野の用益権や境界をめぐって共用村落間、または村対領主、国対国、領主対領主間にかもされる紛争。古くは山問答といい、江戸時代には山出入、山争い、境論、入会会議ともいった。やまろん。
※和漢三才図会(1712)七〇「本山白山峯在越前加賀之境而略跨飛弾越中近頃加越両国有山論、未決乎」

やま‐ろん【山論】

〘名〙 山林原野の所有権・用益権や境界をめぐって争論すること。さんろん。
※政基公旅引付‐文亀三年(1503)四月一三日「上郷与日根野村山論事先年沙汰了」

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世界大百科事典内の山論の言及

【山論】より

…例えば1199年(正治1)の伊賀国黒田荘と大和国長瀬荘の境相論では,〈山野谿谷の習,際目(境目)の不審出来するの日,其沙汰煩多し〉と述べられている。こうした解決困難な中世の山論では,次のような慣習法が形成された。すなわち,(1)まず文書などによって相手方に山への立入りを禁止する通告をし,(2)それを無視して侵犯したものに対しては鎌や斧などの道具を取り上げた。…

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