嵐三右衛門(初代)(読み)あらし・さんえもん

朝日日本歴史人物事典 「嵐三右衛門(初代)」の解説

嵐三右衛門(初代)

没年元禄3.10.18(1690.11.18)
生年:寛永12(1635)
江戸前期の立役の歌舞伎役者俳名三楽。摂州西宮(兵庫県西宮市)の浪人で,江戸で魚問屋を営んでいた西崎新平の子。本名西崎三右衛門。江戸で丸小三右衛門と称していたが,寛永ごろ「小夜嵐」という狂言が当たり,名を嵐と改める。延宝(1673~81)ごろ上方に上り座本を勤め活躍した。延宝8年,京北側芝居で伊藤小太夫と共演した「吉野身請」は大当たりをとった。やつし事名人と呼ばれた鈴木平左衛門に芸風を学び,六法(歩き方を様式化した荒事の一種)や濡れ事,やつし事を得意とした立役で,上方における元禄歌舞伎の基礎を作った。2代目,3代目も有名で,初代同様大坂で座本を勤めた立役であり,以後昭和期まで11代を数える。<参考文献>『歌舞伎評判記集成』1期,『日本庶民文化史料集成』6巻

(北川博子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「嵐三右衛門(初代)」の解説

嵐三右衛門(初代) あらし-さんえもん

1635-1690 江戸時代前期の歌舞伎役者。
寛永12年生まれ。江戸で修業し,寛文のころ狂言「小夜(さよ)嵐」で評判を得,台詞(せりふ)の「花に嵐」から嵐の姓を名のる。のち大坂,京都でも活躍。俏事(やつしごと),濡事(ぬれごと),六方を得意とした。当たり役は「吉野身受」の小倉屋源兵衛など。元禄(げんろく)3年10月18日死去。56歳。摂津西宮(兵庫県)出身。本姓は西崎。俳名は三楽。

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