平らか(読み)タイラカ

デジタル大辞泉 「平らか」の意味・読み・例文・類語

たいら‐か〔たひら‐〕【平らか】

[形動][文][ナリ]
高低起伏がないさま。たいらなさま。「平らかな道」
落ち着いていて静かなさま。「波平らか湾内」「天下平らかにする」
心が穏やかなさま。「心中平らかでない」
「苦のなさそうな―な寝息が」〈宮本伸子
物事が滞りなく進むさま。
「いと―に男子生み給へれば」〈落窪・二〉
[類語]安全静か無事安泰平安小康安心確実無難無害大丈夫穏やか平穏温和安寧あんねい安穏あんのん事無しセーフティー無毒

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「平らか」の意味・読み・例文・類語

たいら‐かたひら‥【平か】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 「か」は接尾語 )
  2. 起伏や傾斜がなく、平坦なさま。たいら。また、数量や程度に、多少、高低などのないさま。
    1. [初出の実例]「遂に憤を発し食を忘れて険を履むこと夷(タヒラカナル)か若し」(出典:大慈恩寺三蔵法師伝院政期点(1080‐1110頃)序)
    2. 「畠の間の平かな道も好きだ」(出典:千曲川のスケッチ(1912)〈島崎藤村〉一)
  3. 国がよく治まって、やすらかなさま。波乱がなく静かなさま。
    1. [初出の実例]「としごろよの中たいらかに、くに栄えてあり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)春日詣)
  4. 心にとげとげしさがなく、おだやかなさま。心がまっすぐで正しいさま。
    1. [初出の実例]「皆平(タイラカナル)(みこころ)を以て容(ゆる)したまふ」(出典:日本書紀(720)神代上(寛文版訓))
  5. 事故や支障がなく物事の行なわれるさま。つつがないさま。無事。
    1. [初出の実例]「多比良可(タヒラカ)に 帰り来ませと」(出典:日本紀略‐延暦二二年(803)三月二九日)
    2. 「いとたひらかに男子生み給へれば」(出典:落窪物語(10C後)二)

平らかの語誌

→「たいら(平)」の語誌


ひら‐らか【平らか】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 「らか」は接尾語 ) 平たいさま。
    1. [初出の実例]「其の俗子を生みては、頭を押して匾(ヒララカニ)す」(出典:大唐西域記巻十二平安中期点(950頃))

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