デジタル大辞泉
「事無し」の意味・読み・例文・類語
こと‐なし【事無し】
[名・形動]
1 何もすることがないこと。また、そのさま。
「常夏の花をだに見ば―にすぐす月日も短かかりなむ」〈後撰・夏〉
2 男女の間に特別のことが起こらないこと。また、そのさま。
「―にて過ぐしつる年ごろも悔しう」〈源・須磨〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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こと‐な・し【事無】
- 〘 形容詞ク活用 〙
- ① 支障、波乱、心配事、変事などが起こらない。何事もない。平穏無事である。
- [初出の実例]「膝に伏す玉の小琴の事無(ことなく)はいたくここだくあれ恋ひめやも」(出典:万葉集(8C後)七・一三二八)
- ② 心の中に、こだわりや心労がない。
- [初出の実例]「事にふれて心ぐるしき御けしきの、したにはおのづから洩りつつ見ゆるを、ことなく消ち給へるも、ありがたくあはれにおぼさる」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
- ③ これといってなす事もない。大した用事もない。無為である。
- [初出の実例]「帯刀(たちはき)捕へて、『雨ふる夜なめり。一人な寝そといひつれば、いざ給へ』といへば、女わらひて『そよ』と『ことなかり』といへど」(出典:落窪物語(10C後)一)
- ④ 困難や面倒がない。たやすい事である。
- [初出の実例]「わづらはしかりつる事はことなくて、やすかるべき事はいと心ぐるし」(出典:徒然草(1331頃)一八九)
- ⑤ 非難すべき点がない。欠点がない。非のうちどころがない。→事もなし。
- [初出の実例]「大君の御笠に縫へるありま菅ありつつみれど事無(ことなき)吾妹(わぎも)」(出典:万葉集(8C後)一一・二七五七)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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