建武年中行事(読み)ケンムネンジュウギョウジ

デジタル大辞泉 「建武年中行事」の意味・読み・例文・類語

けんむねんじゅうぎょうじ〔ケンムネンヂユウギヤウジ〕【建武年中行事】

南北朝時代の有職故実書。3巻。後醍醐天皇撰。建武元年(1334)成立朝廷における年中行事を記した書。秘記。御抄。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「建武年中行事」の意味・読み・例文・類語

けんむねんじゅうぎょうじケンムネンヂュウギャウジ【建武年中行事】

  1. 南北朝時代の有職故実書。三巻。後醍醐天皇著。建武年間(一三三四‐三八)頃成立。朝廷で正月から一二月まで行なわれる恒例の年中行事和文で記したもの。朝儀復興という天皇目的意識が込められている書。秘記、御抄、和字年中行事とも。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「建武年中行事」の意味・わかりやすい解説

建武年中行事 (けんむねんちゅうぎょうじ)

後醍醐天皇が著した有職書。1334年(建武1)成立。3巻。もとは《秘記》《御抄》《和字年中行事》といった。内容は朝廷における年中行事を正月四方拝から十二月追儺までを月ごとに和文で記す。すたれていた朝儀の再興を意図したもので,建武新政一環をなす。《群書類従》《列聖全集》《皇学叢書》に所収
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「建武年中行事」の意味・わかりやすい解説

建武年中行事
けんむねんじゅうぎょうじ

朝廷で行われる1年間の恒例,臨時の行事の作法装束などを記した書。3巻。後醍醐天皇の著。 1330年代の成立。現在は,恒例の年中行事の部のみが伝存し,臨時の部は伝わっていない。『西宮記』『北山抄』『江家次第』など,従来の有職書が漢文であるのに対し,和文で書かれていて,国語資料としても貴重である。鎌倉幕府を倒した天皇が,天皇親政の理想実現の一環として,旧儀の復興をはかった意欲がうかがわれる。『群書類従』所収。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「建武年中行事」の意味・わかりやすい解説

建武年中行事【けんむねんちゅうぎょうじ】

1334年(建武1年)後醍醐(ごだいご)天皇が著した有職書。《秘記》《御抄》《和字年中行事》とも。朝儀復興を意図し,正月の四方拝から12月追儺(ついな)までの年中行事を国文(和文)で記す。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「建武年中行事」の意味・わかりやすい解説

建武年中行事
けんむねんじゅうぎょうじ

南北朝時代の朝廷の年中行事書。3巻があり、後醍醐(ごだいご)天皇の作。『仮名(かな)年中行事』『年中公事記(くじき)』などの別名もある。正月の「四方拝」「御薬(みやく)を供(くう)す」から、12月の「追儺(ついな)」に至る諸行事について仮名で書かれている。内容は式次第のみで、行事の起源来歴には触れていない。おそらく本書は、建武新政期における朝儀の執行の手引という実践的目的のために作成されたものであろう。

[酒井信彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

山川 日本史小辞典 改訂新版 「建武年中行事」の解説

建武年中行事
けんむねんじゅうぎょうじ

有職(ゆうそく)故実書。3巻。後醍醐天皇著。1334年(建武元)成立。宮中の年中行事を月ごとにまとめ,仮名を用いて記述する。建武新政の初期に書かれたことから,その内容とともに,形骸化していた天皇の政治力の再興とその絶対化を目的としたと思われる。一条兼良(かねよし)の「公事根源(くじこんげん)」の下敷きともなった。「群書類従」所収。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

旺文社日本史事典 三訂版 「建武年中行事」の解説

建武年中行事
けんむねんじゅうぎょうじ

後醍醐 (ごだいご) 天皇が著した朝廷恒例の年中行事の解説書
1334年ころ成立。3巻。正月の四方拝から歳末の追儺 (ついな) (悪鬼を追い払うための儀式)までの宮中の行事を仮名書きにしたもので,後世の有職 (ゆうそく) 書に大きな影響を与えた。

出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の建武年中行事の言及

【公事根源】より

…1422年(応永29),または翌年の成立。朝廷の公事の基本を示す儀式書であり,後醍醐天皇の《建武年中行事》を基本にし,また二条良基の《年中行事歌合》の判詞を抄出し,改題して将軍に献上したものといわれている。行事の内容を月の順序で記し,それぞれの行事の起源,沿革,特質等についてのべており,後世,盛んに利用され,注釈書も多く作られた。…

※「建武年中行事」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android