弥彦神社(いやひこじんじゃ)(読み)いやひこじんじゃ

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

弥彦神社(いやひこじんじゃ)
いやひこじんじゃ

新潟県西蒲原(かんばら)郡弥彦(やひこ)村に鎮座。「やひこじんじゃ」ともいわれるが、「いやひこ」が正式名称。越後(えちご)平野の中央にそびえる弥彦山の麓(ふもと)にある。祭神は天香山命(あめのかごやまのみこと)。別名を高倉下命(たかくらじのみこと)ともいい、紀州(和歌山県)熊野で神武(じんむ)天皇東遷のときに大功をたて、のちに越後の国土開発のために来臨し、住民に漁業製塩農耕、酒造などの技術を授けたといわれ、越後の文化、産業の始祖神として仰がれている。『延喜式(えんぎしき)』には「伊夜比古神社」とあり名神(みょうじん)大社に列している。越後国一宮(いちのみや)。旧国幣中社。古来、皇室をはじめ、戦国の武将、徳川将軍などの崇敬も厚かったが、それにもまして越後地方の民衆の崇敬も顕著なものがあり、多数の講が各地に組織され、盛んに「お弥彦(やひこ)参り」が行われ、今日まで続いている。

 境内には、1916年(大正5)の造営になる社殿のほか、社務所、宝物館、飯殿、舞殿、斎館、神馬舎、絵馬殿などが建ち並ぶ。例祭は2月2日。特殊神事として夜宴(やえん)神事(1月1~3日)、弓始(ゆみはじめ)神事(1月7日)、粥占炭置(かゆうらすみおき)神事(1月16日)、鎮魂(ちんこん)祭(4月1日、11月1日)、灯籠(とうろう)神事(7月25日)などがあり、また天犬舞(あまいぬのまい)などの多くの舞楽も伝えられ、国の重要無形民俗文化財に指定されている。社宝の志田大太刀(しだおおたち)、大鉄鉢(おおてっぱち)は、国の重要文化財である。

[佐野和史]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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