官位相当の服色のこと。603年(推古天皇11)に、冠位十二階の制によって初めて当色が決められ、冠や上着の色で身分を示した。その後幾度か改訂があり、養老(ようろう)の衣服令(りょう)で定められた当色がその後の基準になっている。しかし平安時代以降、当色における深浅の区別がほとんどなくなって、深い色のみ使われた。さらに深紫が黒にかわり、四位の者も黒を用いることとなった。また、七位以下はほとんど叙せられることがなく、名目のみになったため、地下(じげ)の者はみな緑を用い、紫や縹(はなだ)は当色からはずされた。そのほか、公事(くじ)の際、役を勤める者に、宮中から賜る定めの色の衣服をも当色とよんだ。
[高田倭男]
位色(いしき)とも。古来,朝廷で位階などの身分に応じて着用が定められた衣服の色。平安以降は材質や文様も含む。衣服令では天皇の白,皇太子の黄丹(おうだん)その他18色を規定し,みずからの位階に対応する当色以下の使用のみを許すとしている。こうした広義の当色とは別に,狭義には特定の儀式行事に際し,役割に応じて着用する服の色を当色という。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…いかに五色の考え方に規制されるところが大きかったか,ということを知る。加えて,平安期をも含めた古代宮廷社会においては,衣服から装身具まで,位階や身分に応じて使用すべき色(当色(とうじき))や使用不許可の色(禁色(きんじき))が厳格に定められてあったから,必然的に,色彩の感じ方にも尊卑観念のつきまとうことは避けられなかった。そして,位袍(いほう)のシステムにおいて,一~三位が紫または黒,四・五位が赤,六・七位が緑,八・初位が縹と定められていたから,〈あお〉の色は,greenおよびblueをひっくるめて尊貴の色に遠いという感じ方が固定してしまった。…
…衣服や調度に用いられる染織品,料紙などの色や配色の名称を一般の色名と区別し,公家の規範を意識した場合の色を色目と称した。例えば朝廷における位階相当の上着の色の当色(とうじき),一般の者の使用を禁じた服色や織物の禁色(きんじき)などは法式に従って規定された色であり,服色や織物,紙などの色の組合せの襲(重)(かさね)の色などは公家様式に従って選定された色である。603年(推古11)に冠位十二階の制が定められて以来,冠や上着の色によって階級を示すようになり,この当色はその後いくたびか改訂されたが,養老の衣服令による服色の規定が基本となって守られてきた。…
…服制の上で,勅許されなければ着用できない衣服の色および服地。令制では,親王以下官人の位階に応じて着用する服の色が規定されており,当色(とうじき)という。当色より下位の色目の着用は自由であったが,上位のものは禁じられていた。…
…朝服の袍は位袍(いほう)といって位階によって服色が定められている。これを当色(とうじき)といい,養老の〈衣服令〉では天皇は白,皇太子は黄丹,親王と臣下の一位は深紫,二・三位は浅紫,四位は深緋(あけ),五位は浅緋,六位は深緑,七位は浅緑,八位は深縹(はなだ),初位は浅縹としている。平安時代初期に深浅の区別がなくなり,すべて深い色とし,また天皇の用いる色に黄櫨染(こうろぜん)と青色が加えられた。…
※「当色」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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