御家(読み)オイエ

デジタル大辞泉 「御家」の意味・読み・例文・類語

お‐いえ〔‐いへ〕【御家】

貴人・主君などの家の敬称。また、他人の家の敬称。「御家一大事
主婦居間。また、畳を敷いた部屋。座敷
「母者人、女房ども…―の真中、どっかと坐れば」〈浄・忠臣蔵
上方で、良家の妻の敬称。お内儀。
「―はどうぢゃいな」〈滑・膝栗毛・六〉
芸能家元
「謡の太夫はどれどれぞ、―のしぶや、金春こんぱるや」〈仮・竹斎・上〉
[類語]家庭いえ所帯しょたい世帯せたい一家家族家内うち我が家ホームマイホームスイートホームファミリーお宅おうち貴家きか

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「御家」の意味・読み・例文・類語

お‐いえ‥いへ【御家】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「お」は接頭語 )
  2. 貴人、大名などの家の敬称。主人・主君の家。主家。転じて、広く他人の家の敬称にも用いる。
    1. [初出の実例]「うへさまは、〈略〉しせんしせん御心かわりも御入候へは、御いへのはて候はんする御事と、みなみな申され候御事にて候」(出典:伊達家文書‐天正一八年(1590)一二月二六日・孝蔵主消息)
    2. 「一日もお家(イヘ)のはしに居ますからはお主(しう)同前」(出典:浮世草子・西鶴織留(1694)四)
  3. 家の中の床張りの部分。また、畳を敷いた部屋。また、もと主婦の居間をいい、転じて畳の敷いてある居間のこととも。
    1. [初出の実例]「又三蔵の昼寐かとお家はき出し」(出典:浄瑠璃・伊豆院宣源氏鏡(1741)二)
    2. 「そんなにおいへを見廻しても、雪陣が畳の上にあるものか」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)四)
  4. 良家の主婦の呼称。おかみさん。→おいえさま
    1. [初出の実例]「兎角かたと色とお茶の味と三拍子そらふたら、呉服所のおいへになるまじきものにもあらず」(出典:浮世草子・好色床談義(1689)三)
  5. 芸能の家元。
    1. [初出の実例]「うたひの太夫はどれどれぞ、おいゑのしぶや、こんぱるや」(出典:仮名草子・古活字版竹斎(1621‐23頃)上)
  6. おいえげい(御家芸)」の略。
    1. [初出の実例]「物ごしけしほど鼻へ入てなまり又おもしろしもとより御家の物なればいふはおろか」(出典:評判記・役者評判蚰蜒(1674)玉本数馬)
  7. おいえきょうげん(御家狂言)」または、「おいえもの(御家物)」の略。
    1. [初出の実例]「世話場は御家、時代とちがひ」(出典:戯財録(1801)狂言場行工合之事)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の御家の言及

【百姓】より

…半隷属的小農は名子,被官,家抱(けほう),隠居,門屋(かどや)など各地でさまざまの呼び方をされているが,これらはいまだ自立を達成しえない自立過程にある小農の姿である。これらの小農は親方,御家,公事屋,役家などと呼ばれる村落上層農民(初期本百姓)に隷属し,生産・生活の全般にわたって主家の支配と庇護を受けていた。彼らは主家から零細耕地を分与され,主家の許しを受けて刈敷場(かりしきば)から肥料を採取し,自分持ちの小農具(鍬(くわ),鎌(かま))で分与地を耕作し,そこで自己の再生産をまかない,一定日数の賦役労働を主家の農業経営に提供した。…

※「御家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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