御内(読み)オウチ

デジタル大辞泉 「御内」の意味・読み・例文・類語

お‐うち【御内/家】

他人の家や家庭敬称。お宅。「あすは―にいらっしゃいますか」
自分の家の丁寧な言い方。「暗くなったので、ぼくも―に帰りましょうね」
[類語]家庭いえ所帯しょたい世帯せたい一家家族家内うち我が家ホームマイホームスイートホームファミリーお宅いえ貴家きか

み‐うち【御内】

[名]
貴人の邸内。貴人の屋敷の内部。
「侍ども、―に夜、討ちいったり、とて」〈平家・一二〉
殿様主君主人
「―只今機嫌悪しく候と申しければ」〈義経記・七〉
将軍の旗下に属する武士
御曹司おんざうしの―にわれと思はん侍ども」〈保元・中〉
譜代ふだいの武士。
「―、外様とざまの勢四千余騎と注せり」〈太平記・三七〉
家臣家来
「―に召し抱へられし野夫やぶ医者のありけるが」〈仮・浮世物語・四〉
[代]二人称の人代名詞。軽い敬意をもって相手をいう語。あなた。
「花を散らしつるは―でわたり候ふか」〈謡・雲林院

おん‐うち【御内】

手紙脇付わきづけの一。相手の妻、または家族全体にあてる場合に用いる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「御内」の意味・読み・例文・類語

み‐うち【御内】

  1. ( 「み」は接頭語 )
  2. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 貴人、または、主君の邸内。
      1. [初出の実例]「君住まぬみうちは荒れてありす川いむ姿をも映しつる哉」(出典:山家集(12C後)下)
    2. 貴人。また、貴人の奥方。
      1. [初出の実例]「みうち只今機嫌あしく候」(出典:義経記(室町中か)七)
    3. 中世、武家で譜代関係にある家臣。外様に対する語。
      1. [初出の実例]「木曾殿の御内に四天王ときこゆる今井・樋口・楯・禰井にくんで死ぬるか」(出典:平家物語(13C前)九)
    4. 鎌倉時代、幕府の執権北条氏直属の家臣。それ以外の将軍家奉公の御家人を外様と呼ぶのに対していう。
      1. [初出の実例]「御内の者にて候間、かくて候とて、びむをもかかず」(出典:日蓮遺文‐崇峻天皇御書(1277))
    5. うちに仕える者。家臣。家来。また、組する味方。
      1. [初出の実例]「これは俊成のみ内にありし者にて候」(出典:謡曲・忠度(1430頃))
  3. [ 2 ] 〘 代名詞詞 〙 対称。軽い敬意をもって相手をさす語。おうち。
    1. [初出の実例]「花を散らしつるはみ内でわたり候ふか」(出典:謡曲・雲林院(1426頃))

ご‐ない【御内】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ご」は接頭語 )
  2. お家の中。お宅の内。家内。
    1. [初出の実例]「此御内には御内儀さまもなささうで、暫し休らふことさへも、妙なものにて侍ふと」(出典:浄瑠璃・当麻中将姫(1714頃)二)
  3. ごないしつ(御内室)
    1. [初出の実例]「御老母様・御内・御むすめ子御無事之よしめで度奉存候」(出典:正秀宛芭蕉書簡‐元祿四年(1691)正月一九日)
  4. 内裏(だいり)をいう。
    1. [初出の実例]「先日より度々、御内にも御成あり」(出典:随筆・槐記‐享保一二年(1727)五月二四日)

おん‐うち【御内】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「おん」は接頭語 ) 手紙のあて名の下に書きそえることばの一つ。家族全体にあてて出すときに使う。

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世界大百科事典(旧版)内の御内の言及

【得宗】より

…このときの時頼の権力の根拠は執権職にはなく,得宗という地位にあったものと考えられ,したがってこの時期に得宗専制が成立したと見ることもできる。 得宗家の権力伸張に伴って,その所領は得宗領または御内御領,御内所領と呼ばれて一般所領と区別され,一定の権威を持つようになった。得宗領在地は,初期には一般御家人が代官として支配することもあったが,やがて在地の豪族が代官に起用されることが多くなった。…

※「御内」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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