御用達(読み)ごようだち

精選版 日本国語大辞典 「御用達」の意味・読み・例文・類語

ごよう‐だち【御用達】

随筆胆大小心録(1808)一三八「越前屋の市郎右衛門といふて、御用だちにて、老いて後には禅門になって、常に翁のわかい時にかわいがられた事ぞ」

ごよう‐たし【御用達】

※雑俳・柳多留‐三(1768)「野はかまでこじりはねたが御用達」

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デジタル大辞泉 「御用達」の意味・読み・例文・類語

ごよう‐たし【御用達】

(「ごようたつ」とも)宮中官庁などへ用品を納めること。「宮内庁御用達の品」
御用商人」に同じ。
[類語]商人商売人あきんど豪商御用商人政商画商貿易商小売商

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改訂新版 世界大百科事典 「御用達」の意味・わかりやすい解説

御用達 (ごようたし)

江戸時代,幕府や諸藩の需要を賄う出入りの商人,職人のことで,御用聞御賄などとも呼ばれた。幕府の金座,銀座の座人や,金銀為替組,呉服所,菓子所,廻船御用達,あるいは諸藩の掛屋蔵元などは御用達の代表といえよう。旗本御家人俸禄米の換金化や,彼らに金貸しを行っていた札差商人も御用達の一種である。このほか御用達には,将軍や旗本,あるいは大名やその家臣らの日常必需品や奢侈(しやし)品などを調製するため出入りした特定の畳師,指物師,塗師,絵師,鍛冶師,具足師などの職人がいた。御用達の多く苗字帯刀を許され,扶持米を給されるなど身分的に厚遇された。営業面でもさまざまな特権が与えられたので,その特権を利用して巨富を積む者もいた。また幕府・諸藩は財政が困窮化するに伴い,しばしば彼らに御用金を課すなど財政的に依存することが多くなり,御用達のなかには幕府や諸藩の財政政策に深く関与する者も現れた。大名貸で活躍した大坂鴻池善右衛門と江戸の三谷三九郎は,東西を代表する御用達と称された。寛政改革の際,江戸の豪商10名が幕府の勘定所御用達に登用されたが,彼らの財力と商業的手腕は以後の幕府経済政策に重要な役割を果たした。御用達は,領主権力と結んで共存共生の関係にあったため,幕藩体制の崩壊とともにその多くは没落した。
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百科事典マイペディア 「御用達」の意味・わかりやすい解説

御用達【ごようたし】

江戸時代,幕府・諸藩の役所・屋敷に出入りし,その需要を賄った特権商人。御用聞(ごようきき)・御用商人・御賄(おまかない)などとも称された。主なものとして幕府の金座・銀座の座人,金銀為替組・公儀呉服師・菓子師,諸藩や旗本の掛屋(かけや)・蔵元(くらもと)・札差(ふださし)らがおり,そのほか生活用品や奢侈(しゃし)品をあつかった畳師・指物師・塗師・絵師らの職人もいた。多くは苗字帯刀を許され,扶持米・屋敷を給されるなど厚遇され,営業上の特権を利用して巨万の富を築く者もいた。江戸時代中期以降,幕府・諸藩の財政逼迫に伴い御用金を課せられることが多くなり,大坂の鴻池(こうのいけ)や江戸の三谷(みたに)ら大名貸(だいみょうがし)で幕府・諸藩の財政政策に深く関わる者も出た。幕藩体制の崩壊とともにほとんどが没落した。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「御用達」の解説

御用達
ごようたし

御用商人(ごようしょうにん)

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世界大百科事典(旧版)内の御用達の言及

【三谷三九郎】より

…会津藩でも天明・寛政(1781‐1801)の改革は三谷だけの資金調達で実施されており,1800年(寛政12)には藩の三谷からの借金は10万8000両に及んだという。江戸での三谷は寛政改革のさいの勘定所御用達となり,三貨の調節や公金の貸付けなどに従事した。明治維新期には商法会所の元締頭取となって太政官札の貸付け,流通に力を尽くした。…

※「御用達」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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