心得・意得(読み)こころえる

精選版 日本国語大辞典 「心得・意得」の意味・読み・例文・類語

こころ‐・える【心得・意得】

〘他ア下一〙 こころ・う 〘他ア下二〙
① まわりの事情物事の意味などを理解し、さとる。わけがわかる。わきまえる。思わくを察する。
※竹取(9C末‐10C初)「宮仕へ仕うまつらず成りぬるも、かくわづらはしき身にて侍れば、心えず思しめされつらめども」
徒然草(1331頃)七八「物の名など心得たるどち、片端言ひ交し、目見合せ笑ひなどして、心知らぬ人に心えず思はする事」
② 承知する。同意する。了解する。ひきうける。
源氏(1001‐14頃)真木柱「いかなりけることならむとはいまに心えがたく思ける」
愚管抄(1220)五「内侍には伊予内侍・少輔内侍二人ぞ心ゑたりける」
③ 気をつける。用心する。心構えをする。覚悟する。
※徒然草(1331頃)二一三「さればころび落ちぬやうに心得て炭をつむべきなり」
④ たしなみがある。会得している。その道の経験が深い。精通する。
※源氏(1001‐14頃)帚木「わが心えたる事ばかりを、おのがじし心をやりて、人をばおとしめなど、かたはらいたき事多かり」
平家(13C前)一〇「与三兵衛重景、石童丸といふ童、舟に心えたればとて〈略〉召し具して」
[補注]室町時代ごろからヤ行下二段にも活用し「こころゆ(る)」が見られるが、その明らかな例は「こころゆ」の項にあげた。→こころゆ

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