木契(読み)モッケイ

デジタル大辞泉 「木契」の意味・読み・例文・類語

もっ‐けい〔モク‐〕【木契】

木で作った割り符。律令制で、三関開閉のための命令勘合に使われたもの。

もく‐けい【木契】

もっけい(木契)

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精選版 日本国語大辞典 「木契」の意味・読み・例文・類語

もっ‐けいモク‥【木契】

  1. 〘 名詞 〙 令制で、三関国に置かれた札。三関の開閉のための命令の勘合に使われたもの。三関国の長官が保管する。その形状は明らかではないが、木製の札を二つに割った割符のようなものと思われる。
    1. [初出の実例]「古記云。問。三関国各給契二枚。未知。契状。答。木契也」(出典令集解(738)公式)

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改訂新版 世界大百科事典 「木契」の意味・わかりやすい解説

木契 (もっけい)

日本古代の律令制下で三関の開閉の際に用いられた木製の割符。関契ともいう。左右に分割され,左符後宮の蔵司に保管され,右符は鈴鹿不破・愛発(あらち)(のち逢坂)の3関のあった伊勢・美濃・越前近江)にそれぞれ2枚ずつ支給され,国司が保管した。固関(こげん)のときは固関使が蔵司保管の左符をもって関国に赴き,右符と照合したうえで関を閉じた。また開関の際は開関使がやはり木契をもって派遣された。その形状については,この制度が施行されていた当時の法律家も知るところでなく不明であるが,それは左符が後宮の蔵司に保管されたことにもうかがえるように,木契が天皇権力と密接な関係にあるからである。なお平安時代になると,《儀式》や《西宮記》などに長3寸,方1寸との記載があるが,これは789年(延暦8)にいったん三関が廃止された後の制であり,古制を引き継いだものかは不詳。
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普及版 字通 「木契」の読み・字形・画数・意味

【木契】もくけい

木のわりふ。通門札。〔唐書、百官志一〕(司門郎中)そ召す敕をし、銅魚・木を勘(かんが)へ、然る後に入る。

字通「木」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「木契」の意味・わかりやすい解説

木契
もっけい

木製の割符 (わりふ) 。令制で兵士を徴発する際,その真偽を判断するため,木札を2分し,1片は内裏,1片は3関国 (→三関 ) に置いて符合した。本来は軍事上の不慮にそなえるものであったが,のちには形式化し,崩御,譲位などの固関 (こげん) の儀に用いられた。

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