日本古代の律令制下で三関の開閉の際に用いられた木製の割符。関契ともいう。左右に分割され,左符は後宮の蔵司に保管され,右符は鈴鹿・不破・愛発(あらち)(のち逢坂)の3関のあった伊勢・美濃・越前(近江)にそれぞれ2枚ずつ支給され,国司が保管した。固関(こげん)のときは固関使が蔵司保管の左符をもって関国に赴き,右符と照合したうえで関を閉じた。また開関の際は開関使がやはり木契をもって派遣された。その形状については,この制度が施行されていた当時の法律家も知るところでなく不明であるが,それは左符が後宮の蔵司に保管されたことにもうかがえるように,木契が天皇権力と密接な関係にあるからである。なお平安時代になると,《儀式》や《西宮記》などに長3寸,方1寸との記載があるが,これは789年(延暦8)にいったん三関が廃止された後の制であり,古制を引き継いだものかは不詳。
執筆者:館野 和己
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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