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本所法 ほんじょほう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

本所法
ほんじょほう

平安時代中期以降,荘園の発展につれて,本所が自分の支配領域に施行した法体系。家務法と荘園法とに大別される。家務法は本所の家務 (寺院なら寺務,神社なら社務) に関する法で,荘園法とは荘園内に行われる法である。荘園制社会では,土地所有の秩序は (しき) という形態で構成され,本所法は,自己の法圏に強制さるべき規範を統一的,画一的な成文法としてもつことがなかったから,問題は常に個別的,具体的に解決されなければならなかった。応仁の乱 (1467~77) 前後に荘園制度が崩壊するとともに消滅した。

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世界大百科事典 第2版の解説

ほんじょほう【本所法】

本所が自己の領有する荘園を支配するための法。私的大土地所有としての荘園の所有者を,公法的主体の観点から本所と称する。国衙領として開発された場合も,独立単位で個別的に所有の対象となる保,土地の支配を基点とする荘園とは異なり,人の支配,人間集団の奉仕を基点として成立した御厨(みくりや)なども,私的大土地所有という面では荘園と同様にみてよい。中世ではこのような私有地には複数の権利が職(しき)として重層し,一つの荘園に本家職,領家職,預所職等が重なるが,荘園の実質的領有権である荘務権を有する者を本所と呼ぶべきであろう。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

本所法
ほんじょほう

荘園(しょうえん)領主による家政運営と荘園支配のための法。11世紀中期には荘園公領制の成立、権門(けんもん)独自の訴訟体系の成立に伴って、律令(りつりょう)国家の法を排除した新たな法圏が成立し、公家(くげ)法・武家法から相対的に独立した本所領家の裁判権の及ぶ範囲で機能するようになった。本所の裁判は、一方の当事者にその関係者を含むか、本所が支配している所職(しょしき)に関する訴訟の管轄を原則とし、公家から本所に裁判権が委任される場合もあった。その裁判審理は政所問注(まんどころもんちゅう)といい、多くは明法家(みょうぼうか)の勘文(かんもん)に基づいて行われた。ときには地下(じげ)問注として御使(おつかい)を現地に送り荘政所などで関係者立会いで調停がなされる場合もあった。このため、本所法は律令法を継承した公家法とともに、「地下之例」「当御庄例(とうみしょうのれい)」など在地での慣習法を含んで成立していた。刑罰として、中央では家政機関への拘禁や家領への流刑、在地では盗犯殺害人の荘内追放・財産没収などが行われた。なお、国衙(こくが)や検非違使庁(けびいしのちょう)は、本所の許可なしに荘民や寄人(よりゅうど)、神人(じにん)らを追捕(ついぶ)しえなかった。本所法では、提訴にはかならず犯人の指摘と挙証責任が負わされる一方、どの本所の裁判に訴えるか、その判決に服するか否かは、当事者の問題とされた。そのため、訴訟の長期化や同一事件について複数の判決が分立することも多かった。[井原今朝男]

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世界大百科事典内の本所法の言及

【中世法】より

…次に古代国家の衰退過程において,荘園制とよばれる社寺権門の大土地所有制が発展すると,荘園領主たる本所(ほんじよ)は荘民に対する裁判権を国家から認められて,法廷を用意し,あるいはみずから法を制定し,あるいは荘園内に生まれた法慣習を採用して,荘園支配に備えた。これら荘園領主によって荘園支配のために創出・利用された法の総体を本所法とよぶ。ついで12世紀の末,鎌倉幕府とよばれる武士の政権が,形式的には王朝国家の分肢として,東国を主要な基盤として成立し,急速な発展をとげると,武士団体の長い成長の歴史の中で生み出された武士社会固有の法慣習に,公家法・本所法を部分的にまじえて,鎌倉幕府を支える新しい法体系が形成された。…

【律令法】より

…官庁内部の慣習法は例または行事という言葉で奈良時代からすでに法的に認められてはいたが,公家法の時代には,法のあらゆる分野で,慣習法の体系が重要な法的意義をもつようになった。荘園制を基礎にして発達した本所法もその一つであるが,地方の行政組織の内部に発達してきた国衙(こくが)法ともいうべき慣習法もその一例である。国司制度は,基本の形式は平安時代になっても律令法と変りはなかったが,国司の職が封禄と化し,任地におもむかない遥任の国司が増加するにつれて,諸国の行政は留守所あるいは在庁官人が行うようになった。…

※「本所法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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