東京オリンピック競技大会(読み)とうきょうオリンピックきょうぎたいかい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

東京オリンピック競技大会
とうきょうオリンピックきょうぎたいかい

東京を開催都市として行なわれた第18回オリンピック競技大会。1964年10月10日から 24日までアジアで初めてのオリンピック大会として開催され,93の国と地域から 5000人以上の選手が参加した。日本は当時の国家予算の 4分の1をオリンピックに投入した。独立国となった東南アジア諸国が初参加したが,インドネシア朝鮮民主主義人民共和国北朝鮮)はスポーツに社会主義思想を持ち込んだ新興国競技大会 GANEFO参加問題を理由に選手団を引き揚げた。南アフリカ共和国人種隔離政策アパルトヘイト)を理由に,国際オリンピック委員会 IOCが参加を認めなかった。この大会は,通信衛星による世界へのテレビ放映,コンピュータによる記録の即時収集発表など,報道と運営で新機軸を生んだ。また,陸上競技の 36種目中 27種目に新記録が生まれた。金メダル争いでは,アメリカ合衆国が 36個で,ソビエト連邦に 6個の差をつけて王座奪回,日本は 16個で 3位となった。個人では,陸上競技のマラソンエチオピアアベベ・ビキラが 2連勝し,アメリカのボブ・ヘイズは 100m予選で追い風ながら 9秒9の記録を樹立した。女子体操競技のベラ・チャスラフスカチェコスロバキア)や,この大会で初めて実施された柔道で日本の神永昭夫を破ったアントンヘーシンクオランダ)らの活躍が光った。日本の獲得した金メダル 16個は参加史上最多で,これは遠藤幸雄小野喬らの体操競技,上武洋次郎らのレスリング,猪熊功らの柔道,三宅義信ウェイトリフティング桜井孝雄ボクシング河西昌枝主将とし「東洋魔女」といわれた女子バレーボールチーム(大松博文監督)の活躍によるものである。大会の公式記録映画『東京オリンピック』(1965,市川崑監督)はカンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞した。

東京オリンピック競技大会
とうきょうオリンピックきょうぎたいかい

東京都を開催都市に 2021年7月23日から 8月8日まで行なわれた第32回オリンピック競技大会。東京開催は 1964年東京オリンピック競技大会以来 57年ぶり 2度目。当初 2020年の開催を予定していたが,新型コロナウイルス(→COVID-19)の世界的な感染拡大により史上初の延期(1年)となった。なお,略称の「東京2020」「TOKYO 2020」など開催年を示す「2020」は使用された。感染者激増により首都圏に緊急事態宣言が発出され,中止や再延期を求める声が相次ぐなか大会は強行された。感染防止対策として,大会関係者と一般の人々の接触を極力避ける「バブル方式」の導入,大会関係者の厳しい行動制限,大半の競技会場の無観客化などの措置がとられた。
参加選手は 205の国・地域および難民選手団 EORの約 1万1000人。このうち国ぐるみでのドーピング(禁止薬物使用)が疑われたロシアは,違反歴や疑惑のない選手にかぎりロシア・オリンピック委員会 ROCとして個人資格での参加が認められた。新競技に野球・ソフトボール(2008年北京大会以来 3大会ぶり復活),空手スケートボードスポーツクライミング(→フリークライミング),サーフィン(→サーフライディング),新種目に卓球混合ダブルス,柔道混合団体,3x3バスケットボールなどが加わり,史上最多の 33競技 339種目が首都圏(マラソンは北海道札幌市)を中心とする全 42会場で実施された。またジェンダー平等の観点から女子選手の参加割合を 50%に増やすことを目標に,これまで男子のみだった種目に女子種目が追加されたり,男女混合種目が新たに採用されるなどした。
国別金メダル獲得数の首位はアメリカ合衆国(39個)で,メダル総数でも 1位(113個)だった。2位は中国(38個)で,メダル総数も同じく 2位(88個)。3位は日本で,583選手を派遣し,過去最多となる金メダル 27個を獲得,同じく過去最多となったメダル総数で 5位(58個)につけた。個人では競泳男子のケーレブ・ドレセル(アメリカ合衆国)が,100mバタフライで世界新記録を更新するなどリレー 2種目を含め五冠を達成。また競泳女子のエマ・マキーオン(オーストラリア)は金メダル 4個,銅メダル 3個の計 7個のメダルを手にした。
日本選手は過去大会に実績のある柔道とレスリングでそれぞれ 9個,5個と金メダルを量産し,新競技のスケートボードでは男女 4種目中 3種目を制した。個人では,競泳女子の大橋悠依が個人メドレー 2種目で,体操男子の橋本大輝が個人総合,種目別鉄棒の 2種目で金メダルを獲得した。卓球の新種目混合ダブルスでは伊藤美誠と水谷隼が金メダルを奪い,中国の牙城を切り崩した。スケートボード女子ストリートの西矢椛(にしやもみじ)は 13歳330日と,日本史上最年少の金メダリストになった。団体では野球とソフトボール,フェンシング男子エペ団体で金メダル。また決勝でアメリカに敗れたものの,バスケットボール女子の日本チームの戦いぶりが大会終盤を盛り上げた。
前回大会に続く活躍が期待されていた体操女子のシモーン・バイルズ(アメリカ合衆国)が,自身のメンタルヘルスの問題を理由に団体総合決勝を途中棄権,その決断に支持や共感が集まった。性的マイノリティ(→LGBT)を公表する選手の数が前回大会の約 3倍となる 180人あまりに達し,トランスジェンダーのウエイトリフティング選手が,性自認する女子の種目に初めて出場した。人種,宗教,性的少数者などの多様性を認め差別に反対する世界的潮流のなか,選手が競技開始前に地面に片膝をついたり,表彰台の上で握りこぶしを高く掲げるポーズをとったりするなど,抗議の意思を示す象徴的行為も認められた。
新型コロナウイルスに感染したオリンピック関係者(選手・選手団役員,メディア関係者,委託業者,ボランティアなど)は 547人となり,選手村でのクラスター(感染者集団)発生は大会終盤の 1件にとどまった。女性蔑視発言や過去の差別的言動などを取りざたされた大会関係者の相次ぐ解任・辞任,直前に無観客が決まったことによる物品の大量廃棄,猛暑による試合直前の予定変更など混乱もいくつかみられたが,大会運営全般に重大な支障をきたす問題は起こらなかった。一方で,テレビ観戦が中心となり,オリンピックを最高の大会と位置づける競技者のパフォーマンスを直接見る機会や,海外選手の日本国内での事前合宿および関連イベントが軒並み中止となり,市民との交流の場が失われるなど,スポーツの祭典ならではのにぎわいや楽しさがそこなわれる異例の大会となった。

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