植字(読み)ショクジ

デジタル大辞泉 「植字」の意味・読み・例文・類語

しょく‐じ【植字】

[名](スル)活版印刷で、拾った活字を、原稿に指定してある体裁に並べて組むこと。ちょくじ。「原稿どおり植字する」「植字工」

ちょく‐じ【植字】

[名](スル)しょくじ(植字)」の慣用読み印刷所などでいう。

うえ‐じ〔うゑ‐〕【植(え)字】

活字を組んで版にすること。また、その活字。しょくじ。

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精選版 日本国語大辞典 「植字」の意味・読み・例文・類語

しょく‐じ【植字】

  1. 〘 名詞 〙 活版印刷で、活字を原稿の指定通りに並べて、組むこと。組版。ちょくじ。
    1. [初出の実例]「広告 今般植字印刷の両工年齢拾八才より廿五才迄二拾人限り試験の上傭役す」(出典:朝野新聞‐明治一四年(1881)九月二日)
    2. 「文選も植字も印刷も主(あるじ)が皆な一人で遣った」(出典田舎教師(1909)〈田山花袋〉六)
    3. [その他の文献]〔学山録〕

うえ‐じうゑ‥【植字】

  1. 〘 名詞 〙 活字を組んで版にすること。また、その活字。しょくじ。ちょくじ。
    1. [初出の実例]「天津鴈は板木(はんぎ)ならねどうへ字哉」(出典:俳諧・口真似草(1656)三)

ちょく‐じ【植字】

  1. 〘 名詞 〙 印刷関係で用いる「しょくじ(植字)」の慣用読み。〔新らしい言葉字引(1918)〕

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百科事典マイペディア 「植字」の意味・わかりやすい解説

植字【しょくじ】

活字込物(こめもの)で活版を組む作業をいう。文選で集めた活字と,句読点記号,罫(けい)線などを,段落や行間を整えながら指定された形に組みあげる。→活版印刷写真植字モノタイプライノタイプ
→関連項目自動鋳植機ベッセマー

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図書館情報学用語辞典 第5版 「植字」の解説

植字

活版印刷で,原稿に従って選んだ活字を,原稿の指定通りに組んで版を作る作業.日本では使用される活字の数が多いため,あらかじめ活字を拾う作業を「文選」として区別している.組版の一工程として位置付けられる.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「植字」の意味・わかりやすい解説

植字
しょくじ
composition

活版印刷の工程のうち,割付けの指定に従い活字,罫などを組んで製版する技術,またはその作業をいう。かつては,すべてを手作業だけによる「手組み植字」が行われたが,今日ではモノタイプやライノタイプのように,またコンピュータ・システムによって活字鋳造と植字が一貫して行われる「機械植字」と呼ばれる方法もある。また,これらとは別に印画紙またはフィルム上に文字,記号などをタイプする写真植字の方法もあり,現在では,こちらの方法が主流となっている。これは主として平版印刷,凹版印刷用として使用される。

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世界大百科事典(旧版)内の植字の言及

【活版印刷】より

…それ以前の印刷版が木版のように1枚の板につくられたものであって,文字の抜き差しがむずかしかったのに対して,文字の組替えが自在にできるところから〈生きた版〉という意味で活版と名づけられた。J.グーテンベルクの発明以来,文字印刷の主流として,また印刷の主流として利用されてきたが,鉛合金の活字を使用するため工場衛生上に問題があること,版が重く印刷機の構造もがんじょうでなければならず,取扱いも不便,スピードも出ない(とくに組版においては,和文の活字の場合コンピューターと結びつけて自動化しても毎分120本くらいを組むのが限度である)こと,そしてこの分野における若年労働者の不足もあって,写真植字法の進歩とともにその地位を譲りつつある。将来は,ごく上等の書籍のほか名刺,便箋,挨拶状などが,その特徴を発揮する分野となろう。…

※「植字」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」