デジタル大辞泉
「比婆山」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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比婆山
ひばやま
日次・横屋と南の峠之内との境にそびえる山で、標高約三三〇メートル。山頂は三峰に分れ、伊邪那美神の神陵があり、久米神社が祀られていた。「古事記」上巻に「神避りし伊邪那美神は、出雲国と伯伎国との堺の比婆の山に葬りき」とある比婆山のこととされ、この神話に基づき伊邪那美の神陵がつくられた(「日本書紀」には「紀伊国熊野之有馬村」に葬ったとある)。「出雲国風土記」は山にはふれていないが、「久米社」は載せている。比婆は神奈備山(神霊の籠る山)であり、霊を祀る霊庭からヒバが生じたとみられる。また岩石を周囲にめぐらし神霊を招き下して祭を行う祭場を磐境というが、比婆山の八合目にある岩石が磐境である。
比婆山
ひばやま
比婆郡北部中央に位置する。一般には北の島根県境から南東へ連なる烏帽子山(一二二五・一メートル)・比婆山(一二六四メートル)・立烏帽子山(一二九九・五メートル)・池ノ段(一二七九・五メートル)・竜王山(一二五五・八メートル)の五峰を比婆山と総称する。
「古事記」に「比婆の山」の名がみえ、「出雲国風土記」仁多郡の条にみえる遊記山も比婆山をさすと考えられている。江戸時代には熊野山あるいは鳥の尾ともよばれ、「芸藩通志」は熊野山として「山に熊野神社あるを以てかく称す、一にうびのひ山と称す、雲備の界、斐の山の義なり、又鳥の尾ともいへり、鳥上の峯も近き故にやといふ」と記し、出雲と伯耆の境にある鳥上山(船通山)との関連から鳥の尾の名を生じたものかとみている。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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比婆山 (ひばやま)
広島県比婆郡の北部,島根県境近くに位置する山。標高1264m。《古事記》に記される,伊邪那美(いざなみ)神を葬った〈出雲国と伯伎(ははき)国の堺の比婆の山〉にあたるといわれ,美古登(みこと)山,御陵(ごりよう)山とも呼ばれる。また県境にある烏帽子(えぼし)山(1225m)から比婆山,立烏帽子(たてえぼし)山(1299m),池ノ段(1279m),竜王山(1256m)と,南東に連なる5峰を総称して比婆山ともいう。烏帽子山の西には吾妻山(1238m)があり,これら比婆山連峰は中国山地の脊梁部をなし,山頂部には広い平たん面がある。道後山,帝釈(たいしやく)峡とともに比婆道後帝釈国定公園の一画を占める。比婆山のブナ純林(天)は日本のブナ林の南限地で,また高山植物も豊富。山麓の庄原市の旧西城(さいじよう)町には〈県民の森〉が設営され,キャンプ場などが整備されている。伊邪那美神の葬地として神聖視されたため,周辺や山麓には遥拝所跡と伝える巨岩や同神をまつる神社がある。
執筆者:藤原 健蔵
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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比婆山
ひばやま
広島・島根県境にあり、中国脊梁(せきりょう)山地の烏帽子(えぼし)山(1225メートル)、吾妻(あづま)山(1239メートル)、立烏帽子(たてえぼし)山(1299メートル)、竜王(りゅうおう)山(1255メートル)などから形成される。山頂部はいずれも高位平坦(へいたん)面で、緩やかな斜面となっている。『古事記』には伊邪那美命(いざなみのみこと)を比婆の山に葬ったと記され、比婆山は信仰の対象とされ、周辺には遙拝(ようはい)所跡とされる巨岩が多い。またブナの純林は国指定天然記念物。比婆道後帝釈(どうごたいしゃく)国定公園の一部。
[北川建次]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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比婆山
ひばやま
別称美古登山。広島,島根,鳥取の3県にまたがる中国山地中部の山。標高 1264m。烏帽子山 (1225m) ,吾妻山 (1239m) ,立烏帽子山 (1299m) ,竜王山 (1256m) などとともに比婆連峰を形成する。イザナギノミコトをまつった山として古来信仰があつい。山麓に熊野神社,那智滝があり,付近はブナの原生林が繁茂。県民の森として親しまれ,冬季はスキー場となる。比婆道後帝釈国定公園に属する。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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