比婆郡北部中央に位置する。一般には北の島根県境から南東へ連なる
「古事記」に「比婆の山」の名がみえ、「出雲国風土記」
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
広島県比婆郡の北部,島根県境近くに位置する山。標高1264m。《古事記》に記される,伊邪那美(いざなみ)神を葬った〈出雲国と伯伎(ははき)国の堺の比婆の山〉にあたるといわれ,美古登(みこと)山,御陵(ごりよう)山とも呼ばれる。また県境にある烏帽子(えぼし)山(1225m)から比婆山,立烏帽子(たてえぼし)山(1299m),池ノ段(1279m),竜王山(1256m)と,南東に連なる5峰を総称して比婆山ともいう。烏帽子山の西には吾妻山(1238m)があり,これら比婆山連峰は中国山地の脊梁部をなし,山頂部には広い平たん面がある。道後山,帝釈(たいしやく)峡とともに比婆道後帝釈国定公園の一画を占める。比婆山のブナ純林(天)は日本のブナ林の南限地で,また高山植物も豊富。山麓の庄原市の旧西城(さいじよう)町には〈県民の森〉が設営され,キャンプ場などが整備されている。伊邪那美神の葬地として神聖視されたため,周辺や山麓には遥拝所跡と伝える巨岩や同神をまつる神社がある。
執筆者:藤原 健蔵
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広島・島根県境にあり、中国脊梁(せきりょう)山地の烏帽子(えぼし)山(1225メートル)、吾妻(あづま)山(1239メートル)、立烏帽子(たてえぼし)山(1299メートル)、竜王(りゅうおう)山(1255メートル)などから形成される。山頂部はいずれも高位平坦(へいたん)面で、緩やかな斜面となっている。『古事記』には伊邪那美命(いざなみのみこと)を比婆の山に葬ったと記され、比婆山は信仰の対象とされ、周辺には遙拝(ようはい)所跡とされる巨岩が多い。またブナの純林は国指定天然記念物。比婆道後帝釈(どうごたいしゃく)国定公園の一部。
[北川建次]
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