古代の駅伝制で船や水夫を配置した駅。みずうまや。中国では主要交通路上に黄河や揚子江のような大きな河川・運河・湖沼などがあるために,駅伝制の駅を設けるにあたっては,駅馬や駅丁を配置した陸路の駅のほかに,船と丁(水夫)を配置した水駅を設けて舟運を利用することとし,唐代では全国の陸駅1297に対して水駅は260,水陸兼用の駅は86に達した。律令時代の日本は駅伝制も唐にならい,水駅については〈閑繁(かんぱん)を量(はか)って,駅別に船四隻以下二隻以上を置け。船に随って丁を配せよ〉と,厩牧令(くもくりよう)に唐の厩牧令と同様な規定を設けた。しかし日本には舟運を利用しうるほど大きな水路はなく,駅路などの渡船場には雑徭による度子(わたしもり)を置けばよかったので,延喜式では全国の陸駅400に対して水駅が越後に1,水陸兼用の駅が出羽に1のみであり,駅以外に伝馬と船を配置した所も出羽の最上川沿いに3ヵ所あるにすぎなかった。
執筆者:青木 和夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
律令制により設置された駅家(うまや)の一つ。養老厩牧令(きゅうもくりょう)水駅条では、水駅は馬を配置できない河川を上下する船の継ぎ場に設置され、交通量に応じて2隻から4隻の船を常置し、駅長と駅子を配置することが定められている。史料に見える水駅としては、10世紀前半の『延喜式』兵部省(ひょうぶしょう)諸国駅伝馬条にみえる出羽国の最上川沿いの野後(のじり)駅・避翼(さるはね)駅の伝馬船と佐芸(さき)駅の駅船、雄物川(おものがわ)沿いの白谷(しらや)駅の伝馬船だけである。しかし、9世紀前半に成立した政府の公式見解である『令義解(りょうのぎげ)』では「水陸兼送する駅には、船馬を並び置け」とし、「水陸兼送」の駅家も水駅と解している。このように船と馬を併置した水駅は全国各地に存在していたと考えることができる。
[松原弘宣]
『松原弘宣著『日本古代水上交通史の研究』(1985・吉川弘文館)』▽『坂本太郎著「上代駅制の研究」「古代の駅と道」(『坂本太郎著作集 第8巻』所収・1989・吉川弘文館)』
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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…みずうまや。中国では主要交通路上に黄河や揚子江のような大きな河川・運河・湖沼などがあるために,駅伝制の駅を設けるにあたっては,駅馬や駅丁を配置した陸路の駅のほかに,船と丁(水夫)を配置した水駅を設けて舟運を利用することとし,唐代では全国の陸駅1297に対して水駅は260,水陸兼用の駅は86に達した。律令時代の日本は駅伝制も唐にならい,水駅については〈閑繁(かんぱん)を量(はか)って,駅別に船四隻以下二隻以上を置け。…
…交通制度も細かく整備され,その様子を詳しく知ることができる。唐制では駅は漢と同じく30里(約13.6km)ごとに置かれ,長安の都亭駅をはじめ全国で1639駅(うち水駅260,水陸両用86)が存在した。各駅はその重要度に応じて1等から6等のランクに分けられ,それぞれに60匹から8匹の駅馬と,それに応ずる駅夫が置かれ,駅舎は地方でみるべき豪壮なものであった。…
※「水駅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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