沖縄返還密約(読み)オキナワヘンカンミツヤク

デジタル大辞泉の解説

おきなわへんかん‐みつやく〔おきなはヘンクワン‐〕【沖縄返還密約】

昭和47年(1972)の沖縄返還に際して、日米間で結ばれたとされる合意・密約有事の際の米軍による核兵器の持ち込み、および軍用地の原状回復費用の肩代わりに関するもの。平成21年(2009)9月から翌年3月にかけて外務省の調査チームと有識者委員会がそれぞれ調査・検証を行った。→密約問題
沖縄返還時に日米間で成立した、有事の際の核持ち込みに関する合意のこと。日本周辺で極めて重大な緊急事態が生じた際に、事前協議のみで、米軍が沖縄へ核兵器を持ち込み、また嘉手納などの基地を核兵器貯蔵地として活用する、というもの。返還前の沖縄の米軍基地には核兵器が配備されていたことから、「再持ち込み」という表現も使われる。日本政府が昭和43年(1968)に宣言した、「核兵器を持たず・作らず・持ち込ませず」とする非核三原則と矛盾する。有識者委員会によって合意議事録の存在が確認されたが、沖縄返還当時の佐藤栄作内閣から後継内閣に議事録が引き継がれた形跡がないことなどから、有識者員会は必ずしも密約とは言えないと結論づけた。
沖縄返還協定では、米軍が使用していた軍用地を米国側の自発的支払いによって原状回復することが規定されていたが、この原状回復補償費を日本側が肩代わりする、という密約。昭和47年(1972)の外務省機密漏洩事件によって公にされた。有識者委員会は、明確に文書化されてはいないものの当時の書簡案や記録などの資料から日米間で合意・了解が成立していたことは確認できるとして、広義の密約があったと結論づけた。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

沖縄返還密約

1971年に調印された沖縄返還協定で、日本が米国に米資産買い取りなどのため3億2千万ドルを支払うことになったが、VOAの移転費1600万ドルが秘密裏に含まれていた。69年に佐藤栄作首相とニクソン大統領の間で「核抜き・本土並み」返還で合意した際、有事の際に核兵器を持ち込む別の密約があったことも明らかになっている。

(2013-10-30 朝日新聞 夕刊 1総合)

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百科事典マイペディアの解説

沖縄返還密約【おきなわへんかんみつやく】

日米両政府が,1971年の沖縄返還協定締結の際に,米軍が負担するはずだった土地の原状回復費などを日本側が肩代わりすることなどを取り決めたとされる密約。当時,毎日新聞記者だった西山太吉が,この交渉に関する外務省機密電文を省職員に持ち出させたとして国家公務員法違反で有罪判決を受けた。日本国政府は国会などで密約の存在を否定したが,2000年,この密約を裏付ける内容の米公文書が発見された。2005年,西山は,国家による情報隠蔽・操作を問題として,国家賠償請求を地裁に提訴したが,東京地裁は密約の存在にはふれず,賠償請求の除斥期間を過ぎており請求の権利がないと訴えを棄却。日本国政府はその後も一貫して密約の存在を否定し続けていた。2008年,情報公開法に基づき,作家・研究者・ジャーナリストらが,密約文書の開示を外務省・財務省に請求,両省は文書の不存在を理由に不開示を決定,作家らは提訴した。2009年,この訴訟に関連して証人として出廷した元外務省アメリカ局長吉野文六は,密約の存在を証言,また一方,同年政権交代を果たして発足した鳩山由紀夫内閣岡田克也外務大臣は,沖縄返還時の協定を含む日米密約の存在の調査と情報開示を外務省に指示した。さらに,沖縄返還交渉当時の首相佐藤栄作の私邸から核密約に関わる覚書が発見されるなど,密約が存在したことは確実となった。2010年4月,密約訴訟について東京地裁は外務省の非開示処分を取り消し,文書開示と原告に対する損害賠償を国に命じた。外務省はこの判決を不服として控訴している。→日米密約

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