沼田(読み)ヌタ

デジタル大辞泉 「沼田」の意味・読み・例文・類語

ぬ‐た【沼田】

泥ぶかい田。沼地。ぬまた。
「をぐろ崎―のねぬなは踏みしだき日も夕ましかはづ鳴くなり」〈散木集・二〉
いのししは、泥の上に枯れ草を集めて寝るというところから》猪の臥床ふしど。また、泥土。泥。
「君恋ふとの刈る藻より寝覚めしてみける―にやつれてぞをる」〈散木集・八〉

ぬまた【沼田】[地名]

群馬県北東部の市。江戸時代真田さなだ・本多・土岐とき氏などの城下町。木材の集散や木工業が盛ん。奥日光尾瀬玄関口。平成17年(2005)に白沢村利根村を編入。人口5.1万(2010)。

ぬま‐た【沼田】

沼のように泥深い田。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「沼田」の意味・読み・例文・類語

ぬ‐た【沼田】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 泥ぶかい田。ぬまた。泥地。
    1. [初出の実例]「おくろ崎ぬたのねぬなはふみしだき日も夕ましに蛙鳴くなり」(出典:散木奇歌集(1128頃)夏)
  3. ( 猪(いのしし)は、泥の上に枯草をかき集めて寝るというところから ) 猪の寝床。また、泥土。
    1. [初出の実例]「君こふとゐのかる藻よりね覚してあみけるぬたにやつれてぞみる」(出典:散木奇歌集(1128頃)恋下)
  4. ( 形動 ) 垢がついてきたないこと。しまりがないこと。だらしのないこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「我身はぬたで人を正さうとせばわるいそ」(出典:両足院本周易抄(1477)六)

ぬま‐た【沼田】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 沼のように泥水の深い田。ぬた。
    1. [初出の実例]「亀わり山に水はあらずや 沼(ヌマ)田へとおりて餌をはむ鶴のはし〈一能〉」(出典:俳諧・鷹筑波(1638)四)
  2. [ 2 ] 群馬県北部の地名。室町時代、沼田氏の居館があり、江戸時代には真田・本多・黒田・土岐氏の城下町として発達。木工品の製造が盛ん。昭和二九年(一九五四)市制。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「沼田」の意味・わかりやすい解説

沼田[市] (ぬまた)

群馬県北東部の市。2005年2月旧沼田市が白沢(しらさわ)村,利根(とね)村を編入して成立した。人口5万1265(2010)。

沼田市中部の旧村,旧利根郡所属。人口3665(2000)。沼田盆地東端に位置し,旧沼田市の東に接する。利根川の支流,片品川北岸の山地を占め,中央部を白沢川が南流する。耕地は畑地が主で野菜の生産が中心。コンニャク栽培も行われる。第2次大戦後,片品川から取水する土地改良事業が行われて開田された。片品川沿いを国道120号線が走り,旧沼田市への通勤者も多い。

沼田市東部の旧村。旧利根郡所属。人口5274(2000)。東は栃木県と接する。利根川の支流片品川上流の山地と赤城山北麓の斜面を占め,標高2000m以上の山々に囲まれている。村域の大部分は林野で,国有林が大部分である。中心集落の追貝(おつかい)は片品川東岸の河岸段丘上にあり,国道120号線(旧会津街道)が通じる。耕地の大部分は畑で,野菜生産が中心。近年はアスパラガス,ウドなどの生産がふえている。林業が盛んで,製材工場も多い。根利(ねり)には林業機械化センターがある。1960年代以降,人口減少が続き,過疎地域に指定されている。片品川の吹割渓,吹割滝は名勝・天然記念物の指定を受け,追貝の南には老神温泉,園原ダム,園原湖がある。
執筆者:

沼田市西部の旧市で,沼田盆地の中心都市。1954年沼田町と利南(となみ),池田,薄根,川田の4村が合体,市制。人口4万6339(2000)。《和名抄》に渭田(ぬまた)郷,《吾妻鏡》に沼田御牧とあり,歴史は古い。鎌倉時代の初め沼田太郎が付近一帯を治めた。1532年(天文1)に台地の北西端に沼田城がつくられ,近世には真田,本多,黒田,土岐各氏の城下町として栄えた(沼田藩)。4・8の日に六斎市が開かれ,繭,生糸,木材,薪炭,雑穀類などが取引された。1924年上越線が開通し,台地上の旧市街より低い利根川沿いの低地に駅ができ,駅前町が発展し,製材,木材加工の工場群が立地した。台地上には家具,家庭用品の小工場が多い。周囲の農村では,コンニャク,シイタケ,リンゴなどの栽培が行われる。国道17号線と120号,145号線が交わり,尾瀬や日光へ通じる金精道路(1995年無料開放)への観光の基点となっている。また85年には関越自動車道が全通して,産業,観光の発展に貢献している。北部に迦葉(かしよう)山がそびえる。
執筆者:


沼田[町] (ぬまた)

北海道中部,空知支庁雨竜郡の町。人口3612(2010)。石狩平野最北端に位置し,石狩川の支流雨竜川の低地が広がる。1894年富山県の沼田喜三郎らが入植した。留萌(るもい)炭田に属する雨竜炭田があり,1930年代から炭鉱町として栄えたが,69年に炭鉱はすべて閉山した。雨竜川の低地を中心に米作が行われ,小麦,アズキ,テンサイを産する。南端の北竜には,明治中期の建築で道内唯一の2階建て駅逓である旧沼田本願寺駅逓が残り,また雨竜川の支流幌新太刀別川沿いの幌新に幌新温泉(単純硫黄泉,8℃)がある。JR留萌本線が通じる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「沼田」の意味・わかりやすい解説

沼田(市)
ぬまた

群馬県北部にある市。1954年(昭和29)沼田町と利南(となみ)、池田(いけだ)、薄根(うすね)、川田(かわだ)の4村が合併して市制施行。2005年(平成17)利根(とね)郡白沢、利根の2村を編入、これにより面積は3倍となった。旧沼田町は利根川と左岸の支流片品(かたしな)、薄根の両川の合流する沼田盆地の中心で標高約400メートルの段丘上にある。古くは『和名抄(わみょうしょう)』に渭田(ぬまた)郷、『吾妻鏡(あづまかがみ)』に沼田御牧(みまき)と記され、1532年(天文1)沼田顕泰(あきやす)が段丘面北西端の断崖(だんがい)地形を利用して沼田城を築いてから城下町として発達、江戸時代の真田(さなだ)、本多氏らの支配を経て、幕末まで土岐(とき)氏3万5000石の城下町であった。また利根川上流地方や片品川流域を後背地に、繭、生糸、大豆、薪炭、木材などを扱う4、8日の市場町として発達した。1924年(大正13)上越線が約80メートル低い西側の段丘崖下に開通してから沼田駅付近に新たな市街地ができ、段丘面とはおもにジグザグ状のバス道路で連絡している。国道17号、120号、145号、291号が通じ、関越自動車道の沼田インターチェンジがある。旧利根郡地域の商工業の中心で、工業では製材、木製品に特色がある。農業は米作、畜産、果樹、野菜栽培が行われ、とくに観光リンゴ園が盛ん。尾瀬や丸沼、奥日光方面へのバスの起点で、迦葉山(かしょうざん)(1322メートル)の登山口でもある。薄根川の支流発知(ほっち)川に大規模な玉原(たまはら)ダムが建設された。東部の利根地区には老神温泉(おいがみおんせん)、吹割渓(ふきわれけい)ならびに吹割瀑(国の天然記念物及び名勝)がある。面積443.46平方キロメートル、人口4万5337(2020)。

[村木定雄]

『『沼田市史』全10巻(1995~2003・沼田市)』



沼田(町)
ぬまた

北海道中西部、空知(そらち)総合振興局管内の町。1947年(昭和22)町制施行。町名は、1894年(明治27)入植、初めて農場を開いた富山県人沼田喜三郎(きさぶろう)(1834―1923)に由来する。雨竜(うりゅう)川が石狩(いしかり)平野に出るあたりの右岸を占め、雨竜川支流の上流部にはダムが多い。平野部は開田されて北空知穀倉地帯の一部になっている。JR留萌(るもい)本線、国道275号が通じ、深川留萌自動車道沼田インターチェンジがある。かつては浅野炭鉱、雨竜炭鉱の2炭鉱があり、札沼線(さっしょうせん)の起点でもあったが、1968年(昭和43)~1969年炭鉱は閉山し、札沼線の石狩沼田―新十津川(しんとつかわ)間も1972年廃止された。面積283.35平方キロメートル、人口2909(2020)。

[柏村一郎]

『『新編沼田町史』(1982・沼田町)』


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「沼田」の意味・わかりやすい解説

沼田[市]【ぬまた】

群馬県北部の市。1954年市制。武尊(ほたか)山赤城山などに囲まれ,利根川上流の沼田盆地と,その支流の片品川流域を占め,東端は栃木県に接する。中心市街は1532年(天文1年)に沼田城がつくられ,近世には真田,黒田,土岐各氏の城下町として,また市場町としても発展。上越線,関越自動車道が通じる。林産物取引および工業では木材木製品・家具製造業が盛んで,市の製造品出荷額の6割以上(2003)を占めている。周辺では米,麦,ダイズ,タバコ,コンニャクを多産。尾瀬,奥日光観光の基地で,沼田駅近くに沼田城跡のある沼田公園,北部に迦葉(かしょう)山,東部に老神温泉や吹割滝がある。2005年2月利根郡白沢村,利根村を編入。443.46km2。5万1265人(2010)。→沼田藩

沼田[町]【ぬまた】

北海道雨竜(うりゅう)郡の町。留萌(るもい)山地の南部を占め,南部は石狩平野の一角を形成し,穀倉地帯。留萌本線が通じる。米,メロン,キャベツを産し花卉(かき)栽培を行う。1894年富山県の沼田喜三郎が初めて入植した。283.35km2。3612人(2010)。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「沼田」の意味・わかりやすい解説

沼田
ぬまた

広島市中部,安佐南区の一地区。旧町名。 1971年広島市に編入。区西部を占め,太田川の支流吉山川流域の戸山と安川流域の伴 (とも) の2地区からなる。野菜栽培,養鶏などの近郊農業が行なわれる。伴は住宅地化が進む。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android