(読み)ゾク

デジタル大辞泉 「賊」の意味・読み・例文・類語

ぞく【賊】

他人危害を加えたり、他人の財物を奪ったりする者。「が忍び込む」
国家社会秩序を乱す者。
[類語]追い剝ぎ泥棒盗人盗賊強盗こそ泥ギャング辻強盗物取り夜盗空き巣空き巣狙い板の間稼ぎ枕探し護摩の灰車上荒らし火事場泥棒掏摸かっぱらい巾着切り箱師万引き置き引き引ったくり

ぞく【賊】[漢字項目]

常用漢字] [音]ゾク(呉)
人を傷つけそこなう。害する。「賊害賊心
人を傷つけて財物をかすめる者。強盗。ぬすびと。「海賊義賊山賊鼠賊そぞく盗賊馬賊
時の政府や国家に反逆する者。謀反人。「賊軍賊臣奸賊かんぞく逆賊国賊
難読烏賊いか木賊とくさ

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精選版 日本国語大辞典 「賊」の意味・読み・例文・類語

ぞく【賊】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 他人に危害を加えたり、他人の財物を略奪破壊したりする者。悪事をはたらく者。ぬすびと。盗賊。賊徒。賊人(ぞくにん)
    1. [初出の実例]「我が大師、何の過(とが)(まし)まして此の賊難に値(あひ)給へるぞ」(出典:今昔物語集(1120頃か)一二)
    2. [その他の文献]〔戦国策‐斉策〕
  3. 君主・国家などにそむく者。また一般に、反逆する者。不忠者。むほん人。国賊。逆賊。賊臣。賊人。
    1. [初出の実例]「己等為賊被囲、兵疲矢尽」(出典:続日本紀‐宝亀一一年(780)一二月丁巳)
    2. [その他の文献]〔漢書‐高帝紀上〕
  4. ( 形動 ) 悪事を行なうさま。害のあること。
    1. [初出の実例]「伍子胥は、〈略〉恩少くて賊なる者ぞ」(出典:中華若木詩抄(1520頃)上)

にし‐もの【賊】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「にし」の語義未詳 ) わるもの。ぞく。
    1. [初出の実例]「東の夷の荒ぶる賊〈俗に、阿良夫流爾斯母乃(あらぶるニシモノ)と云ふ〉を平討(う)たむとして」(出典:常陸風土記(717‐724頃)新治)

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普及版 字通 「賊」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 13画

(旧字)
13画

[字音] ゾク
[字訓] そこなう・ころす・わるもの

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
正字はもと鼎(てい)に従い、鼎+戎(じゅう)。金文にはその字形に作る。鼎銘を戈(か)で刊(けず)りとり、其の鼎銘を無効とする行為をいう。〔説文〕十二下に「敗るなり。戈に從ひ、則(そく)聲」とする。則はもとに作り、鼎の銘刻をいう。もしその声をとるならば、の省声というべきである。金文の〔散氏盤〕に「余に、散氏を心にとすることらば、則ち爰((くわん)、罰金)千、罰千ならん」という盟約の辞があり、そのような盟約にそむき、これを廃棄することを賊という。盜も血盟の盤中に(ぜん)(よだれ)を加えて汚し、その盟約をけがし、盟約から離脱する行為を示す字。盗賊とはただ財宝を掠めとる小盗の類ではなく、盟誓に違背する反逆的行為をいう。

[訓義]
1. そこなう、やぶる。鼎銘を毀損し、その盟誓に離反する。
2. ころす、ぬすむ、しいたげる、そしる。
3. わるい、わるもの、あだ、かたき。

[古辞書の訓]
名義抄 ヤブル・ウツ・ヌスム・ヌスミ・カミ・アタ/ カイゾク/木 トクサ/烏 イカ 〔字鏡集〕 ソコナフ・ヤブル・ヌスム・ヌスミ・アタ・カツ・ウツ

[語系]
dzk、則tzkは声近く、則は鼎側に加える銘刻。それを削りとって害することをという。〔説文〕に・則を貝に従う字とするのは、誤りである。

[熟語]
賊営・賊下・賊魁・賊害・賊猾・賊奸・賊姦・賊気・賊器・賊虐・賊牛・賊渠・賊刑・賊警・賊豪・賊・賊塞・賊殺・賊子・賊手・賊主・賊首・賊豎・賊衆・賊傷・賊心・賊臣・賊人・賊帥・賊性・賊勢・賊贓・賊誅・賊徒・賊蠹・賊頭・賊盗・賊禿・賊忍・賊輩・賊匪・賊夫・賊氛・賊兵・賊鋒・賊本・賊乱・賊吏・賊虜・賊倫・賊塁・賊戻
[下接語]
陰賊・隠賊・海賊・外賊・猾賊・奸賊・義賊・逆賊・凶賊・賊・寇賊・劫賊・豪賊・国賊・山賊・残賊・讒賊・女賊・賊・水賊・鼠賊・大賊・蠹賊・奴賊・党賊・討賊・盗賊・破賊・馬賊・匪賊・平賊・民賊・賊・老賊

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