浜北人(読み)ハマキタジン

デジタル大辞泉 「浜北人」の意味・読み・例文・類語

はまきた‐じん【浜北人】

昭和35年(1960)から37年(1962)にかけて、静岡県浜北市(現在の浜松市)の採石場洞穴で発見された化石人骨。上下二つの地層から動物の骨などとともに出土放射性炭素年代測定法結果は、上層が約1万4000年前、下層が約1万8000年前であることを示し、いずれも更新世後期の人骨であることが明らかになった。

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改訂新版 世界大百科事典 「浜北人」の意味・わかりやすい解説

浜北人 (はまきたじん)

1960-62年,静岡県浜北市(現,浜松市浜北区)根堅の岩水寺そばの石灰岩採石場の洞穴から,長谷川善和鈴木尚,高井冬二,鈴木あきのによって発見された人骨。上層からは若い女性の個体に属すると考えられる前頭骨,頭頂骨,後頭骨頬骨,歯,上腕骨尺骨腸骨など,下層からは別の女性の脛骨が発見された。ヒョウシカアナグマなどの動物骨も出土している。人骨の形態は,保存が部分的なので詳しくはわからないが,現代人や縄文人ととくに違いはない。年代は,2005年に松浦秀治と近藤恵により,人骨から採取した有機物を測定する放射性炭素法で,上層の人骨は約1万4000年前と推定された。
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百科事典マイペディア 「浜北人」の意味・わかりやすい解説

浜北人【はまきたじん】

1960年―1962年静岡県浜北市(現・浜松市)の石灰岩採石場から発見された新人段階の化石人骨。絶滅動物化石とともに,上腕骨頭骨寛骨一部が出土した。フッ素含有量の測定結果から1万5000年から3万年前と推定されている。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「浜北人」の解説

浜北人
はまきたじん

静岡県浜松市浜北区の浜北根堅(ねがた)遺跡で1960年(昭和35)から62年にかけて発見され,鈴木尚(ひさし)によって報告された更新世後期の新人段階の化石人類。身長の低い(約143cm)成人女性の断片的な頭蓋冠・頬骨・鎖骨・上腕骨・尺骨・腸骨が出土し,四肢骨には縄文時代人によく似た特徴が認められる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「浜北人」の意味・わかりやすい解説

浜北人
はまきたじん

日本の更新世人類の一つ。 1961年静岡県浜北市根堅岩水寺の石灰岩採石場で発見された,新人類の頭骨,鎖骨,上腕骨,尺骨,骨盤などの破片に名づけられた名称。更新世後期,ウルム氷期後半のものとされる。

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