涸沼(読み)ヒヌマ

デジタル大辞泉 「涸沼」の意味・読み・例文・類語

ひ‐ぬま【涸沼】

茨城県水戸市南東にあるき止め湖。周囲22キロメートル、面積9.35平方キロメートル、最大深度6.5メートル。那珂川に注ぐ涸沼川砂州で堰き止められてできた。満潮時には海水が逆流する。富栄養湖淡水魚海水魚生息する。ニシン生息の南限。平成27年(2015)ラムサール条約に登録された。

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精選版 日本国語大辞典 「涸沼」の意味・読み・例文・類語

ひ‐ぬま【涸沼】

  1. 茨城県中東部にある湖。涸沼川の下流部が那珂川の自然堤防にふさがれてできたといわれる。那珂川の河口とつながり、満潮時には海水が流入してくる。富栄養湖で、六十余種の淡水魚・海魚が生息、ニシン生息の南限としても知られる。水戸八景の一つ「広浦の秋月」で知られる景勝地。日沼。広沼。古称、蒜門江(ひるまのえ)

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日本歴史地名大系 「涸沼」の解説

涸沼
ひぬま

東茨城郡東部にあり、周囲は東岸が大洗町、南東岸が鹿島郡旭村、他は茨城町。那珂川の自然堤防で土砂が堆積し、涸沼川の水が堰止められてできた。面積八・八平方キロ、周囲二三・九キロ、最大水深三・五メートル。「常陸国風土記」は香島郡の項で「北は那賀と香島との堺なる阿多可奈あたかなの湖なり」と記す。また「将門記」は天慶三年(九四〇)一月中旬から下旬にかけての一〇日間と思われる時期、「僅カニ吉田ノ郡蒜間ひるまノ江ノ辺ニ、掾貞盛・源扶ノ妻ヲ拘ヘ得タリ」とある。この阿多可奈の湖・蒜間ノ江を「常陸誌料郡郷考」などは涸沼のこととする。

「水府志料」は乾沼湖・日沼・干沼の異記を記し、「土人広浦と称す」という。

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改訂新版 世界大百科事典 「涸沼」の意味・わかりやすい解説

涸沼 (ひぬま)

茨城県東部の堰止湖。古くは日沼,広沼とも呼ばれた。面積8.8km2,周囲22km,最大深度3.1m。常陸(ひたち)台地内の浸食谷が,那珂川の流下した土砂で末端を埋積されて生じた湖で,涸沼川の膨大部にあたる。満潮時には那珂川を介して海水が流入する汽水湖でもある。近世に舟運に利用され,沿岸の海老沢,網掛などは中継地としてにぎわったが,湖水面は明治以来干拓が進みかなり縮小した。風景にめぐまれ,涸沼公園,キャンプ場などがあり,ハゼボラフナなどの釣りの名所としても知られる。ニシン生息の南限で,淡水ニシンで著名であった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「涸沼」の意味・わかりやすい解説

涸沼
ひぬま

茨城県中東部、鉾田市(ほこたし)、東茨城郡茨城町、大洗町(おおあらいまち)の1市2町にまたがる沼。広浦(ひろうら)ともいう。面積9.35平方キロメートル、周囲22キロメートル、最大水深6.5メートル。那珂(なか)川に注ぐ涸沼川が、出口付近を自然堤防の砂州でせき止められ、下流部が湖沼化した。富栄養湖で、満潮時には海水が流入し、海水魚と淡水魚がすむ。ニシンの遡上(そじょう)で知られ、ボラ、セイゴ、ハゼ、コイ、シジミなど年平均約3000トンの漁獲量がある。釣り客も多く、天橋立(あまのはしだて)状の砂州が延びて広浦の秋月(あきのつき)とよばれ、水戸八景の一つに数えられ、親沢(おやさわ)の砂州とともに県指定名勝になっている。また、いこいの村や老人保健センターがある休養観光地帯でもある。水戸駅より鹿島(かしま)臨海鉄道、茨城交通バスが通じる。

[櫻井明俊]


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百科事典マイペディア 「涸沼」の意味・わかりやすい解説

涸沼【ひぬま】

茨城県水戸市街南東方にある沼。面積9.30km2。最深3.0m。那珂川の堆積物が支流涸沼川の下流部をせき止めてできたと考えられる。水位の変化が激しく,海水が逆流することもある。《常陸国風土記》の阿多可奈の湖,《将門記》の蒜間(ひるま)丿江にあたるとされ,江戸時代に漁労・水運および景勝の地として知られた。ニシン,ハゼ,ボラ,コイ,フナ等の海水・淡水魚が多く,釣場として有名。ここで初めて発見されたヒヌマイトトンボが知られ,2015年5月にラムサール条約登録湿地となった。
→関連項目茨城[町]ラムサール条約

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「涸沼」の意味・わかりやすい解説

涸沼
ひぬま

茨城県東部,涸沼川の下流にある湖沼。日沼,広沼,広浦とも称した。面積 9.35km2。周囲 22km。最大水深 6.5m。那珂川が多くの土砂を河口付近に堆積して巨大な自然堤防を形成し,涸沼川の水をせき止めて生じた湖(→堰止湖)。フナ,シジミ,ボラ,ハゼなど六十余種の魚介類が生息。淡水性ニシンの生息地,釣りや狩猟の地としても有名。大洗県立自然公園に属する。2015年ラムサール条約に登録された。

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事典・日本の観光資源 「涸沼」の解説

涸沼

(茨城県東茨城郡茨城町・大洗町)
21世紀に残したい日本の自然100選」指定の観光名所。

涸沼

(茨城県鉾田市・東茨城郡茨城町・大洗町)
日本の重要湿地500」指定の観光名所。

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普及版 字通 「涸沼」の読み・字形・画数・意味

【涸沼】こしよう

涸沢。

字通「涸」の項目を見る

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