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漆紙文書 うるしがみぶんしょ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

漆紙文書
うるしがみぶんしょ

漆が染み込んだために硬化作用を受けて,紙がなめし皮のようになって地中に遺存した資料のこと。この紙は,接着や装飾に用いたの乾燥・硬化を抑えるために容器のふた紙として使われた地方役所の文書の反故 (ほご) であることから,木簡に劣らず貴重な史料とされている。硬化していて肉眼では全く文字の見えないものでも,赤外線を通して見ると,文字をはっきりと認めることができる。 1978年に宮城県の多賀城遺跡で発見されたのが最初で,その後,胆沢城址,秋田城址,鹿ノ子C遺跡,長岡京跡,吉田南遺跡など,全国各地の官衙 (かんが) 跡での発見が相次いでいる。これまでに最古とされたのは鹿ノ子C遺跡から出土した「天平十四年 (742年) 」と書かれた出挙 (すいこ) 帳で,多くは奈良時代後半に集中している。従来の文献史料では知られていない新たな種類の文書や,新事実が数多く発見されている。

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百科事典マイペディアの解説

漆紙文書【うるしがみもんじょ】

1978年に多賀城遺跡から古代の紙片が多く出土し,その後胆沢城跡,秋田城跡,長岡京跡,平城京跡など全国の古代役所跡からも出土。これらの紙は漆塗りの作業過程で,漆の乾燥を防ぐために蓋紙として再利用されていたもので,漆の硬化作用により遺存した。

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世界大百科事典 第2版の解説

うるしがみもんじょ【漆紙文書】

漆の硬化作用によって,地中に遺存した紙の文書。古代では,これらの紙は役所の公文書であることが多く,その資料的価値は高い。1978年に古代東北地方の政治,軍事の中心であった多賀城の遺跡(宮城県多賀城市)ではじめて発見され,全国的に注目された。温暖多湿な日本では紙が地中に遺存することはまれであり,今まで古代の紙が地中から出土した例は,経塚(きようづか)に埋納された経巻程度である。多賀城跡で紙片が多数発見されたのは,紙に漆が付着していたためである。

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世界大百科事典内の漆紙文書の言及

【多賀城】より

…東北地方では多賀城のほかに,太平洋側では桃生(ものう)城,伊治城,胆沢城,志波城,徳丹城が,また日本海側では秋田城といった城柵遺跡が解明されつつあるが,城柵を城塞的にはとらえず,地方の官衙として把握することは,おおむねどの城柵にもあてはまることである。
[出土遺物]
 多賀城跡からは,多量の瓦片,須恵器・土師器・須恵系土器などの土器類,木器・木簡,それに漆紙(うるしがみ)文書など多種多様の遺物が出土している。瓦は,奈良時代から平安時代の編年が,層位的調査と文献との照合などから,ほぼとらえられている。…

※「漆紙文書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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