岩手県奥州市の中部,真昼山地中央部の三界山(1381m)から東にのびる尾根上に位置する火山。標高1548m。両輝石安山岩およびその砕せつ物からなるが,浸食が進んでいるため火山地形の面影は少ない。栗駒国定公園の北端に位置し,山頂からは遠く岩手山,八幡平,鳥海山などが望まれる。山頂直下に仙水沼があるほか,山腹には湖沼や湿地があり,高山植物の宝庫となっている。北東麓には夏油(げとう)温泉があり,また南東麓には北上川水系総合開発計画の一環として日本最初のロックフィルダムである多目的の石淵ダムが1953年に建設されている。焼石岳の周辺には,東に天竺山,経塚山,駒ヶ岳,北方に牛形山,南に横岳,獅子ヶ鼻岳などの山々が連峰をなし,ブナ帯からダケカンバ帯,ハイマツ帯と明瞭に移行する植生が見られる。
執筆者:水野 裕
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岩手県南西部、奥州市(おうしゅうし)と和賀(わが)郡西和賀町(にしわがまち)の境にある山。標高1547メートル。牛形山(うしがたさん)、駒ヶ岳(こまがたけ)などからなる焼石連峰の主峰で、栗駒(くりこま)国定公園の一部。第四紀に噴出形成した火山で、周囲には規模の小さい火山が集まっている。ブナの原生林に覆われ、山腹には小沼が多く分布し高山植物も豊富。東麓(とうろく)の尿前(しとまえ)川の渓谷は無数の滝をつくり、とくに紅葉期は美しい。月山(がっさん)、八甲田山(はっこうださん)とともに残雪の多い山で、登山路は北東麓の夏油(げとう)温泉からのコースが変化に富んでいる。頂上からの展望は雄大で八幡平(はちまんたい)などを遠望できる。
[金野靜一]
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