生島新五郎(読み)イクシマシンゴロウ

デジタル大辞泉 「生島新五郎」の意味・読み・例文・類語

いくしま‐しんごろう〔‐シンゴラウ〕【生島新五郎】

[1671~1743]江戸中期歌舞伎俳優。奥女中絵島えじまとの情事のかどで三宅島へ流された。

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精選版 日本国語大辞典 「生島新五郎」の意味・読み・例文・類語

いくしま‐しんごろう【生島新五郎】

  1. 江戸中期の歌舞伎俳優。大奥の女中絵島との密通によって三宅島へ流罪となる。寛文一一~寛保三年(一六七一‐一七四三

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改訂新版 世界大百科事典 「生島新五郎」の意味・わかりやすい解説

生島新五郎 (いくしましんごろう)
生没年:1671-1743(寛文11-寛保3)

歌舞伎俳優。立役。前名野田蔵之丞。1693年(元禄6)までに改名俳名菱賀。1701年度の上京以外は江戸で活躍し,04年(宝永1)以後はもっぱら山村座出勤。小柄ではあったが,初世中村七三郎そのままといわれた濡れ事,やつし事,丹前振出しに長じ,美貌と芸ぶりに江戸の人気を集めた。14年(正徳4)春,大奥女中江島と通じた罪で三宅島に流され,この事件で山村座は廃絶した。
江島事件
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朝日日本歴史人物事典 「生島新五郎」の解説

生島新五郎

没年:寛保3(1743)
生年:寛文11(1671)
江戸初期の歌舞伎役者。俳名菱賀。前名野田蔵之丞。元禄5(1692)年ごろに生島新五郎と改めた。初代中村七三郎そのままといわれたやわらかみのある芸風で,濡れ事,やつし事,丹前(江戸初期の伊達男の風俗を写した演技)を得意とし,女性に大変な人気があった。濃い白粉と紅の下着で演じる彼の濡れ事は,かなり扇情的なものであったと想像される。宝永1(1704)年からは主に江戸山村座に出勤していたが,正徳4(1714)年春,江戸城の奥女中絵島と通じていたことが発覚し,三宅島へ流された。この絵島生島事件によって山村座は廃絶し,以後江戸の歌舞伎は中村,市村,森田の3座となった。没年には異説がある。<参考文献>『歌舞伎評判記集成』1期

(加藤敦子)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「生島新五郎」の意味・わかりやすい解説

生島新五郎
いくしましんごろう
(1671―1743)

歌舞伎(かぶき)俳優。大坂で生まれ、江戸で活躍。1714年(正徳4)に大奥の上﨟(じょうろう)絵島(えじま)との密会が露顕し、新五郎が三宅(みやけ)島に流罪となり、江戸四座の一つ山村座が断絶となったいわゆる「絵島・生島事件」で有名。俳優としては初世中村七三郎流の和事(わごと)を得意とし、2世市川団十郎に影響を与えた。

[古井戸秀夫]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「生島新五郎」の解説

生島新五郎 いくしま-しんごろう

1671-1743 江戸時代前期-中期の歌舞伎役者。
寛文11年生まれ。生島大吉(初代)の兄。江戸で若衆方から立役(たちやく)となって人気を得,山村座に属す。正徳(しょうとく)4年(1714)将軍家奥女中絵島(えじま)との密会が発覚,三宅(みやけ)島に流罪となる(絵島生島事件)。寛保(かんぽう)2年ゆるされ江戸にかえり3年1月5日73歳で死去。享保(きょうほう)18年配所での死去説もある。大坂出身。前名は野田蔵之丞(くらのじょう)。俳名は菱賀(りょうが)。

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世界大百科事典(旧版)内の生島新五郎の言及

【江島生島物】より

…歌舞伎狂言の一系統。江戸城の奥女中江(絵)島と歌舞伎役者生島新五郎の情話に取材したもの。この江島事件は1714年(正徳4),大年寄(おおどしより)江島が山村座の役者新五郎となじみを重ねたことが発覚,江島は信州高遠に,生島は三宅島に流罪,関係者1000余名が処分され,山村座は廃絶になったというもの。…

【江島事件】より

…将軍徳川家継の生母月光院に仕えていた江島(絵島とも書く),宮路らが正月12日寛永寺,増上寺へ代参の帰途,木挽町の山村長太夫座に立ち寄り,桟敷および座元の居宅で遊興して帰城したことが発覚し,評定所で審理の結果,江島は永遠島と決まったが,月光院の願いで信濃伊那高遠城主(3万3000石)内藤清枚(きよかず)に預けられ高遠へ配流された。この事件に連座して江島の兄弟や関係者は死罪や遠島,重追放などになり,遊興の相手の山村長太夫,生島新五郎らも遠島となった。厳罰に処されたのが江島とその関係者のみで,同行した女房らは親類預や御奉公御構だけですんでいるのが,やや不審な点である。…

【芥子】より

…酢やみそに加えてなますやあえ物に使ったことがはっきりするのは室町時代のことになるが,食生活の洋風化が急激に進んだ第2次大戦後まで,日本人にとってはきわめて重要な香辛料であった。江戸時代にはカツオの刺身はからしで食べるものとされた時期があったようで,1714年(正徳4)の江島事件で三宅島へ流された俳優生島(いくしま)新五郎が江戸の2世市川団十郎にあてて〈初松魚(はつがつお)からしがなくて涙かな〉と書き送った話が伝えられている。 和がらしの辛みは,配糖体シニグリンが酵素ミロシナーゼの作用で加水分解されて生ずるアリルイソチオシアネートによるもので,酵素は40℃で最も活性化するため,水でなく温湯で溶くほうがよい。…

※「生島新五郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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