由布岳(読み)ゆふだけ

精選版 日本国語大辞典 「由布岳」の意味・読み・例文・類語

ゆふ‐だけ【由布岳】

(木綿(ゆう)をつくるシナノキを多く産したところから) 大分県中央部、別府市西端にある鐘状火山。標高一五八三メートル。歌枕豊後富士。柚富峰(ゆふのみね)。木綿山(ゆうやま)

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デジタル大辞泉 「由布岳」の意味・読み・例文・類語

ゆふ‐だけ【由布岳】

大分県中部、別府市と由布市との境にある鐘状火山。標高1583メートル。豊後ぶんご富士。万葉集には「木綿ゆふの山」とみえる。

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日本歴史地名大系 「由布岳」の解説

由布岳
ゆふだけ

湯布院盆地の北東、湯布院町と別府市の境にあり、裾野の東は城島きじま高原、北には塚原つかわら高原が広がる。木綿ゆふ岳・木綿山とも書いた(豊後国志)。現在は豊後富士とも称せられ、湯布院町ではノ岳ともよぶ。標高一五八三・三メートル。

由布―鶴見地溝において展開された速見火山区の活動の結果、角閃安山岩の溶岩から形成された鐘状火山である。火山活動の開始は少なくとも三万五千年以上前、側火山の活動は二万五千年前以後で、池代火砕流の活動と山頂溶岩の流出は二千年前頃と考えられている。山頂は二つの峰に分れ、四つの火口がみられる。「豊後国風土記」には「柚富峯」とみえ、「柚富郷の東北にあり。此の峯の頂きに石室あり。その深さ一十余りの丈にして高さ八丈四尺、広さ三丈余りなり。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「由布岳」の意味・わかりやすい解説

由布岳
ゆふだけ

大分県中部,別府市由布市の境にある溶岩円頂丘(鐘状火山)。別称豊後富士。標高 1583m。全山が角閃石安山岩からなる活火山で,多くの寄生火山を有する。山頂は西ノ岳,東ノ岳の 2峰に分かれ,西ノ岳のほうが高い。2峰の間に火口跡があり,山頂の北方に大崩と呼ばれる絶壁を形成。その西にも御池と呼ばれる火口跡がある。頂上からの展望はすばらしく,夏のミヤマキリシマイワカガミなどの植物群落,冬の霧氷の景観が特に美しい。阿蘇くじゅう国立公園に属する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「由布岳」の意味・わかりやすい解説

由布岳
ゆふだけ

大分県中部、別府市(べっぷし)と由布市湯布院(ゆふいん)地区との境にある火山。『豊後国風土記(ぶんごのくにふどき)』では、近くに柚富郷(ゆふのさと)があるので柚富の峰の名がついたとし、『万葉集』には木綿(ゆふ)山とある。豊後富士の称もあるが、含輝石角閃(かくせん)石安山岩溶岩からなる鐘状火山であり、裾野(すその)の発達は小さい。山頂は東ノ岳(1583メートル)と西ノ岳(1584メートル)の二峰に分かれ、その間に深さ60~70メートルの不完全な火口状くぼ地がある。山頂は九重(くじゅう)火山群、英彦(ひこ)山、祖母(そぼ)山などの展望に優れ、一帯は夏はミヤマキリシマ、冬は霧氷が美観を呈する。南麓(ろく)を九州横断道路が走り、登山口「一軒屋(いっけんや)」の標高は780メートル。阿蘇くじゅう国立公園(あそくじゅうこくりつこうえん)に含まれる。

[兼子俊一]

『加藤数功編『由布山』(1958・湯布院町観光協会)』


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改訂新版 世界大百科事典 「由布岳」の意味・わかりやすい解説

由布岳 (ゆふだけ)

大分県中部,鶴見岳の西隣に位置する火山。標高1583m。山頂部は大火口を有する溶岩円頂丘で,美しい山容から豊後富士の別名がある。山麓には飯盛山,日向岳など6個の側火山が分布している。北~北東山腹には大きな沢が発達し,浸食作用が著しい。山麓の塚原には,多数の流れ山(小丘)が点在している。噴火,噴気の記録はない。南西山麓には由布院温泉があり,観光名所の一つとなっている。
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百科事典マイペディア 「由布岳」の意味・わかりやすい解説

由布岳【ゆふだけ】

大分県中部にある鐘状活火山。標高1583m。角セン石安山岩質溶岩からなる。古来多くの詩歌にうたわれた名山で,一名豊後(ぶんご)富士。山麓には湯布院,湯平(ゆのひら),別府などの温泉があり,江戸時代に由布嶽祭が行われていた。北東の鶴見岳とともに阿蘇くじゅう国立公園に属する。頂上の展望がよく,九州横断道路に沿う一軒屋が登山口。
→関連項目湯布院[町]

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「由布岳」の解説

ゆふだけ【由布岳】

大分の麦焼酎。酒名は、秀峰・由布岳のように愛される酒になるようにという願いを込めて命名。白麹を用いて仕込み、減圧蒸留で造る。原料は麦、麦麹。アルコール度数25%。蔵元の「小野酒造」は大正元年(1912)創業。所在地は由布市庄内町東長宝。

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デジタル大辞泉プラス 「由布岳」の解説

由布岳

大分県、小野酒造株式会社が製造する麦焼酎。

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