寒風山(読み)かんぷうざん

日本歴史地名大系 「寒風山」の解説

寒風山
かんぷうざん

男鹿半島の東中央部の丘陵地帯に墳出した成層火山。大小二個の火口を持ち、山膚は芝生に覆われる。男鹿三山の一で、標高三五四・八メートル。頂上からの眺望に優れ、南東は秋田湾から鳥海山、東は八郎潟を眼下に出羽山地、西はほん山・しん山、北は五里合いりあい盆地から能代のしろ海岸までを一望のもとにおさめる。

寒風さむかぜ山とも読み、古くは羽吹風はぶかぜ山・妻恋つまこい山・薬師長根やくしながねなどと呼称された(男鹿の島風)。嘉永期(一八四八―五四)の「絹篩」に「絶頂に薬師如来の石像安置す(中略)樹木一円なし、西北の方半フクまて悉く石なり、故に石山とも云」とある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「寒風山」の意味・わかりやすい解説

寒風山
かんぷうざん

秋田県西部,男鹿半島にある二重式火山(→複式火山)。標高 355m。鳥海火山帯に含まれ,男鹿市に属する。40~70mの海食台地にそびえ,新第三紀頁岩に生じた断層に噴火したもの。大部分溶岩からなる。外輪山がアスピーテ型(→楯状火山)で,中央に数個溶岩円頂丘状の火口丘がある。全山草に覆われる。1961年ドライブウェーが完成し,ピクニックハイキング,スキーに好適。1964年山頂に回転展望台が完成。眺望は雄大。周辺に男鹿石と呼ばれる安山岩の石切場がある。男鹿国定公園に含まれる。

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改訂新版 世界大百科事典 「寒風山」の意味・わかりやすい解説

寒風山 (かんぷうざん)

秋田県西部,男鹿半島東部の海岸段丘上に噴出した火山。標高355m。数回の火山活動による噴出で,新旧数個の火口や火口原形成された。岩質は複輝石安山岩を主とし,一部,カンラン石を含む。噴出年代は,縄文後期~弥生時代と推定される。山麓に若干の杉林があるほかは,全山芝生におおわれ,女性的景観が特色。山頂の東北一を誇る回転式大展望台からは,東に大潟村や八郎潟調整池を隔てて太平山地,西に本山ほんざん)火山群,北ははるかに秋田・青森県境の白神山地,南は海上かなたに鳥海山を望み,雄大な眺望で,男鹿国定公園の一部を構成している。中世には山頂に薬師如来がまつられ,本山,真山とともに信仰の対象となった。延長約10kmの有料道路(1986年無料開放)が完工し,山麓のゴルフ場も整い,冬季には山腹の斜面がスキー場となる。山麓で採掘される寒風石は墓石・土木建築材として知られる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「寒風山」の意味・わかりやすい解説

寒風山
かんぷうざん

秋田県中西部、男鹿半島(おがはんとう)の東部にある二重式火山。標高355メートル。山容はコニートロイデ型、全山芝生に覆われている。男鹿国定公園に含まれる。最初の火山活動は60メートルの段丘を貫いて溶岩台地を形成、次の活動で塔の峰(展望台のある所)や、蛇越長根(じゃこしながね)のドームが形成された。1810年(文化7)この付近を震源とする群発地震の記録があり、死者61名に上ったという。山頂北西側には経ノ町(きょうのまち)とよばれる直径約600メートルの第一次噴火口がみられ、南西方には古玉ノ池(ふるたまのいけ)といわれる新火口が鉢状に残っている。

[宮崎禮次郎]


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百科事典マイペディア 「寒風山」の意味・わかりやすい解説

寒風山【かんぷうざん】

秋田県男鹿半島東部にある複式火山。標高355m。カルデラ状火口をもつ平らな外輪山と数個の溶岩円頂丘からなり,全山草地。山頂展望台がある。溶岩は男鹿石と呼ばれ石材となる。
→関連項目男鹿半島

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世界大百科事典(旧版)内の寒風山の言及

【本川[村]】より

…人口930(1995)。吉野川源流域に位置し,北部には石鎚山脈の筒上山(1859m),瓶ヶ森(かめがもり)(1897m),寒風山(1763m),笹ヶ峰(1860m)などがそびえ,愛媛県と境する。かつて当村から東隣の大川村を含む一帯は本川郷とよばれ,周囲から隔絶した山間地で,中世には〈本川五党〉と称する5人の土豪がいた。…

※「寒風山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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