飛鳥文化(読み)アスカブンカ

デジタル大辞泉 「飛鳥文化」の意味・読み・例文・類語

あすか‐ぶんか〔‐ブンクワ〕【飛鳥文化】

飛鳥時代推古朝を中心に栄えた日本最初の仏教文化法隆寺などの建物文化財などから、朝鮮を経由して伝えられた中国六朝りくちょう文化の影響が強くみられ、西域文化の影響もうかがえる。

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精選版 日本国語大辞典 「飛鳥文化」の意味・読み・例文・類語

あすか‐ぶんか‥ブンクヮ【飛鳥文化】

  1. 〘 名詞 〙 飛鳥時代の文化。ただし多くは、その後半期白鳳文化(はくほうぶんか)と呼んで区別する。主に六世紀末から七世紀前半の、大化改新前の国家形成の気運を背景に、仏教伝来によって建築、彫刻絵画工芸に著しい発達を示した生活様式とその内容。法隆寺の薬師如来像、釈迦三尊像、玉虫厨子中宮寺天寿国繍帳聖徳太子の「法華経義疏」、若草寺の唐草瓦などが残る。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「飛鳥文化」の意味・わかりやすい解説

飛鳥文化
あすかぶんか

日本史上,都が主として飛鳥地方にあった時代 (→飛鳥時代 ) の文化。飛鳥文化の特質としては,(1) 中国六朝 (りくちょう) 文化を朝鮮半島を経由して摂取した文化,(2) 仏教を基調とした文化,(3) 都のおかれていた飛鳥地方を中心に畿内とその周辺の狭い地方に発達した文化,などがあげられる。文化遺産としては法隆寺があり,これについては,『日本書紀』の天智天皇9 (670) 年4月の条の法隆寺炎上の記事をめぐって早くから再建非再建の論争があった。その後解体修理の結果,ほぼ再建説が定説化したため,法隆寺の建築は狭義の飛鳥時代のものではなく,白鳳期のものとなり,推古期の建築は現存しないこととなった。しかし現在の法隆寺にみられる柱のエンタシス,雲形の斗 栱 (ときょう) ,肘木 (ひじき) などは六朝の建築手法を伝えたものとされている。彫刻では法隆寺金堂の釈迦三尊像が光背裏の銘文から,推古 31 (623) 年3月,その前年に亡くなった聖徳太子のために止利 (とり) 仏師 (→鞍作止利 ) が造立したものとされる。その特徴は顔は面長で唇が厚く,口元はややそり上がり,微笑をたたえている。目は紡錘形でかなり見開かれ,のちの時代の仏像にみる切れ長な半眼とは相違する。そのほかこの3像の衣相,姿勢,形式などは中国における南北朝時代も末に近い6世紀以降の北魏末の形式を受けたもので,朝鮮半島を経由してもたらされたものとみられている。同じく金堂の『薬師如来像』『百済観音立像』,夢殿の『救世観音立像』,中宮寺の『菩薩半跏像』,京都太秦 (うずまさ) の広隆寺『弥勒菩薩半跏像』などが白鳳期を含めたこの期のものである。そのほかの文化財としては中宮寺の『天寿国繍帳曼荼羅』 (→天寿国繍帳 ) が残欠ではあるが織物として貴重なものである。法隆寺所蔵の『玉虫厨子』は工芸品として優秀であるばかりでなく,その制作年代が飛鳥説と白鳳説とに分れており,前説は法隆寺金堂の雲形斗 栱はこの『玉虫厨子』の宮殿から模倣したものとする。なお,聖徳太子筆という『三経義疏』があるが太子の真筆とすることには疑問も出ている。

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旺文社日本史事典 三訂版 「飛鳥文化」の解説

飛鳥文化
あすかぶんか

文化史上,538年仏教公伝ごろから645年大化改新までの仏教中心の文化
飛鳥の名は,この文化が大和国飛鳥地方に発達したことに由来する。中国南北朝や朝鮮文化の影響が特に強いが,インド・ペルシア・ギリシアなど西域文化とのつながりも認められる。代表的作品には,法隆寺の堂塔や諸仏像,中宮寺と広隆寺の『弥勒菩薩像』,『玉虫厨子』『天寿国曼荼羅繡帳』など。儒学・暦学・天文学も発達した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「飛鳥文化」の意味・わかりやすい解説

飛鳥文化
あすかぶんか

飛鳥時代

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世界大百科事典(旧版)内の飛鳥文化の言及

【飛鳥時代】より

…ついで壬申の乱後の天武・持統朝には飛鳥浄御原令の編纂・施行に伴って律令体制の形成がいっそう進み,国―評―里制の整備,戸籍6年1造と班田収授の施行などによって律令政府の基礎も確立し,つづく大宝律令の制定・施行はまさに律令制中央集権国家の完成を示すことになるが,そうした発展を象徴するのは,飛鳥中心の倭京から藤原京,そして平城京へと展開する都城の急速な拡大である。
[文化]
 文化については,まず前期の推古朝を中心とする文化は飛鳥文化とよぶ。飛鳥文化は仏教文化であるとともに,中国南北朝の文化が朝鮮三国を経由して伝えられたものであった。…

※「飛鳥文化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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